ラ・ママ実験劇場、ジャンルを超越したSFおとぎ話『Mia M.I.A.』を世界初演

Mia M.I.A. - Charlotte Lily Gaspard. By Richard Termine
Sara York

ニューヨークの前衛演劇を牽引するラ・ママ実験劇場(La MaMa Experimental Theatre Club)は、ブルックリンを拠点とするアーティスト集団「ミッドナイト・ラジオ・ショー(Midnight Radio Show)」による新作『Mia M.I.A.』の世界初演を行います。「SFおとぎ話」と銘打たれた本作は、ローファイなスペース・ポップ、生演奏のヒップホップ、そして精巧な手切りの影絵芝居を融合させたアバンギャルドな意欲作です。その核にあるのは、深い悲しみ(グリーフ)の本質、癒やしにおける想像力の役割、そして自身の「影」を受け入れることで生まれる変容の力への根源的な問いかけです。

物語の構造とテーマの共鳴

物語は、主人公エラがタイトルロールでもあるミアの不可解な失踪に直面し、不在という残酷な現実と向き合うところから始まります。愛する者がいない世界を受け入れることを拒絶したエラは、星間旅行や未知の力が渦巻く、魔法めいた異次元へのオデッセイ(冒険の旅)へと踏み出します。この旅路は喪失の寓意として描かれており、悲嘆が驚きへと砕け散り、勇気、繋がり、そして創造を通じて癒やしがもたらされる過程が表現されています。

クリエイターのシャルロット・リリー・ガスパールは、2021年のパンデミックによる隔離期間中にこのプロジェクトを構想しました。分断の中でのアイデンティティの断片化を探求するために物語を用いたのです。本作は、悲劇に直面した際に過小評価されがちな「遊び心」や「奇想」といった要素を、生き抜くためのスーパーパワーとして位置づけ、重厚な実存的テーマを軽やかに描き出します。

舞台美術と視覚的革新

ミッドナイト・ラジオ・ショーの実験的な美学に基づき、『Mia M.I.A.』は俳優とシルエットのユニークな相互作用を特徴としています。スクリーンの背後だけでなく前面でも展開される革新的な影絵の手法により、登場人物は切り絵のファンタジー世界と現実の舞台空間の境界を自在に行き来します。印象的な衣装デザインと手切りのシルエットで構成されたビジュアルは、劇場全体を生きた小宇宙(コスモス)へと変貌させることを目指しています。

本作は2021年からラ・ママのレジデンスプログラムで開発され、デニス・グレーバーがキュレーションを務めるパペット作品開発シリーズ「ジャンプ・スタート(Jump Start)」を通じて3段階にわたり練り上げられました。

音響建築とパフォーマンス

『Mia M.I.A.』の聴覚的な風景は、祖先の語り部の伝統と未来的なサウンドスケープの架け橋となるよう構築されています。グリオ(西アフリカの伝承音楽家)でありヒップホップアーティストのマリク・ワークは、本作のために書き下ろしたエレクトリックなライブナンバーを披露し、現代的なリズムと視覚的な物語を対話させます。楽曲にはネブラスカ、ドク・フロストに加え、集団的なエンパワーメントを促すボーカル・サウンドスケープで知られる「音響建築家」レベッカ・ケリーGも参加しています。

演出はアッシュ・ウィンクフィールドとガスパールが共同で務め、リナ・ダッタ、シャビ・シャリフィ、ギャビー・フェブランド、ズラタ・ゴドゥノヴァ、ナット・マーヴァン、そしてクリエイターらを含む多様なキャストが出演します。

公演情報とチケット

公演は、ニューヨーク市イースト4thストリート74Aにあるラ・ママの「ザ・クラブ(The Club)」にて行われます。チケットは一般30ドル、学生・シニア25ドル、ラ・ママ会員10ドルです。なお、各公演の先着10枚は特別価格の10ドルで提供されます。

公演期間: 2026年2月5日(木)~2月15日(日)

開演時間: 午後7時30分

M.I.A. - Charlotte Lily Gaspard
M.I.A. – Charlotte Lily Gaspard
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