1950年カリフォルニア州フレズノ生まれのビクター・コンテは、ファンク・バンド、タワー・オブ・パワーの元ベーシストであり、ベイエリア・ラボラトリー協同組合(BALCO)の創設者兼チーフである。BALCOは2000年代初頭に大きなドーピング・スキャンダルの渦中にあった。コンテは高校時代にベースを弾き始め、1974年から1980年までタワー・オブ・パワーで活動した。同じ1980年、彼は主にアスリートに栄養補助食品を提供するBALCOを設立した。2000年代初頭、BALCOはアスリートにパフォーマンス向上薬を与え始め、その中には当時薬物検査で検出できなかったデザイナーズ・ステロイドTHGも含まれていた。このステロイドは、バリー・ボンズ、マリオン・ジョーンズ、ティム・モンゴメリーなど、多くの有名選手が卓越した結果を出すために使用していた。2003年、アメリカ反ドーピング機関(USADA)がBALCOの調査を開始し、コンテは最終的にステロイドの配布とマネーロンダリングの罪で逮捕・起訴された。彼は2005年に罪を認め、4ヵ月の禁固刑と4ヵ月の自宅謹慎を言い渡された。出所後、コンテはスポーツ栄養分野で活動を続け、2009年にScientific Nutrition for Advanced Conditioning(SNACニュートリション)を設立した。SNACニュートリションはアスリート向けに幅広い栄養サプリメントを提供しているが、パフォーマンス向上薬は一切販売していない。コンテは賛否両論ある人物だが、アスリートによる栄養補助食品の使用を声高に主張している。ステロイド、バリー・ボンズ、マリオン・ジョーンズ、そしてスポーツを救うために私たちにできること』(BALCO: The Straight Dope on Steroids, Barry Bonds, Marion Jones, and What We Can Do to Save Sports)など、このテーマについてさまざまな本を書いている。近年、コンテは大麻産業にも積極的に取り組んでいる。アスリートによる医療用大麻の使用を推進する非営利団体Athletes for Careの共同設立者である。また、アスリート向けのCBD製品を製造・販売するReal Scientific Solutions社のCEOでもある。コンテは複雑で物議を醸す人物だが、スポーツ界に著しい影響を与えたことは否定できない。彼はパフォーマンス向上薬の使用におけるパイオニアであり、彼の物語はスポーツにおけるドーピングの危険性についての警告となっている。