ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト、アレックス・ベセラの最新油絵展「PSYCHOMANIA」が、ワイルディング・クラン・ギャラリーで開催される。
ベセラは、ユカタン半島への旅から得た視覚的な考察をもとに、人間の condición(状況、あり方)の複雑さと好奇心を探求する幻想的な風景を描き出す。3つの大判カンバスに広がるのは、ユカタンの鮮やかな景色、文化遺産、そして民俗学との出会いから受けた画家の感情的な経験に着想を得た光景だ。コントラストの強い色彩と豊かなテクスチャが織りなす絵画世界は、観る者を魅惑的なポータルへと誘う。
ベセラの作品全体に共通するのは、マキシマリスト的なアプローチである。筆、指、パレットナイフ、そして絵具チューブから絞り出した最後のひとしずくまでを駆使し、即興的な対話を手中のマテリアルと繰り広げる。
《Chiccharon (Happy Pretty)》では、生い茂るジャングルの緑が画面いっぱいに広がる。鮮烈な赤とオレンジの絡み合いが、緑、青、黄色の豊かな層を切り裂き、予期せぬ強烈な輝きを放ち、調和と予測不可能性に満ちた魅惑的な光景へと観る者の視線を誘い込む。抽象的要素と具象的要素の組み合わせは、制御された混沌を示唆し、視覚と精神のための入り口、休息、そして明快さの拠り所を提供する。
ベセラのカンバスにほとばしる自発的な筆致と鮮やかな色彩は、生の自由と極度の脆弱性の両方の経験としての、創造の陶酔とカタルシスへの画家の美的探求を反映している。
絵画《Bathers (After a lot of other Painters in the history of Art)》では、癒し、浄化、若返りの場としての自然世界の美術史的な描写を参照する。深い紫と鮮やかなオレンジの色合いの中で、4人の女性像の輪郭がネオン・グリーンでカンバス上に際立ち、ジャングルの背景が透けて見える。彼女たちのフォルムは、葉の茂みの中で絡み合い、周囲の脈動に吸収されていく。ユカタンの民俗学に触発されたこの絵画は、土地との精神的な関わりを呼び起こし、ジャングルの静けさと、それがかき立てる内なる葛藤の両方を表現している。
ギャラリー空間全体に広がる「PSYCHOMANIA」のジャングルは、創造という感情的な風景を映し出す鏡像として機能する。そこは、絡み合った喜びとフラストレーション、好奇心と不安が、互いにほとんど区別がつかないほど深く絡み合った領域だ。ベセラは、自身の内なる環境と旅の経験という、二つの視点からの美的探求を通して、絵筆のジェスチャーに込められた物語を解き明かすよう観る者に呼びかけ、未踏の意識の迷宮の中で自分自身を見失う勇気を挑む。
アレックス・ベセラ(1989年、米国カリフォルニア州ピル生まれ)は、ロサンゼルスを拠点に制作活動を行っている。絵画、ドローイング、彫刻を制作する彼は、現代性を、しばしば細かく切り刻んでつなぎ合わせる方法を探求する。
ドイツの新表現主義に特に影響を受けた、ヨーロッパ近代絵画の深い歴史に根ざしたベセラは、油絵具を操る比類なき能力を持ち、カンバスから数インチも盛り上がる厚く、勢いのあるインパストの線で絵具を塗り重ねる。彼の思慮深い構図には、自画像や女性のヌードから、静物画や風俗画まで、あらゆる古典的な絵画の種類が組み込まれており、ビール瓶や車のホイールなど、文脈特有のオブジェが点在する。
一見すると日常的なこれらのシンボルは、南カリフォルニアでの彼の青年時代、そしてその後の国際的なアートの世界への参入に関連する個人的な意義を担っている。このように、ベセラの非常に参照性の高い作品は、彼独自の際立った美学とエネルギッシュな活気を帯びている。
ベセラは、ニューヨークのGalerie Timonier、シカゴのShane Campbell Gallery、ビバリーヒルズとチューリッヒのKarma International、ベルリンのWeiss Berlin、ロサンゼルスのOne Trick Ponyなどで個展を開催。主なグループ展に、マドリードのVETA by Fer Francés、ロサンゼルスのJeffrey Deitch Gallery、ポツダムのKunstraum Potsdam、ロサンゼルスのWilding Cran Gallery、ニューヨークのThe Journal Gallery、ロサンゼルスのRichard Telles Gallery、ミルウォーキーのThe Green Gallery、ロサンゼルスのM+B Gallery、ブルックリンのJournal Gallery、ウエストチェスターのBen Maltz Galleryなどがある。「PSYCHOMANIA」は、ワイルディング・クラン・ギャラリーでの初個展となる。