オーブリー・ウィリアムズの力強い抽象画:ロンドンで個展開催

1960年代から80年代の主要作品を通じて、独自の色彩と表現を探る
Aubrey Williams
Aubrey Williams. Quartet No 5, opus 92 (Shostakovich series), 1981. Oil on canvas, 132 x 208 cm. © Estate of Aubrey Williams. Courtesy the Estate of Aubrey Williams and October Gallery, London.

戦後美術に力強い足跡を残した画家、オーブリー・ウィリアムズの個展がロンドンのオクトーバー・ギャラリーで開催される。本展では、1960年代から1980年代にかけて制作された彼の重要な絵画作品群を通じて、その独特な絵画技法とアプローチに迫る。

ウィリアムズの強烈な作品は、抽象表現主義の先駆者の一人であるアーシル・ゴーキーや、アフリカのモチーフとアフロ・カリビアン文化を参照したウィフレッド・ラム、そしてニューヨーク派の抽象的でエネルギッシュな興奮など、幅広い影響を受けている。しかし、彼の作品は抽象表現を独自に進化させたものとして評価されており、その直感的な抽象の可能性の把握と、完全に独創的な色彩の使用は、戦後美術への力強い貢献と見なされている。

Aubrey Williams
Aubrey Williams. Maya series Chac Mool II, 1968. Gouache on paper, 51 x 63.5 cm. © Estate of Aubrey Williams. Courtesy the Estate of Aubrey Williams and October Gallery, London.

展示される作品群は、エコロジー、宇宙論、音楽、植民地以前の文明といった、ウィリアムズの幅広い関心を浮き彫りにする。例えば、1964年の「太陽と地球」では、形と色彩が見事に融合され、輝かしい効果を生み出す彼の並外れた才能が示されている。また、ロシアの作曲家ドミートリイ・ショスタコーヴィチの音楽を深く敬愛していたウィリアムズは、彼の交響曲や四重奏曲に対する自身の絵画的解釈を表現するために「色彩を感じる」という言葉を生み出した。この広範なシリーズからは、めったに公開されない「四重奏曲第5番 作品92(ショスタコーヴィチ・シリーズ)」(1981年)を含む数点が展示される。さらに、1985年の大作「時間と要素」では、自然現象が強調され、柔らかな輪郭線を持つ色彩の巧みな使用が見て取れる。

ガイアナ出身でロンドンを拠点に活動したウィリアムズは、1950年代から60年代にかけてロンドンで花開いたディアスポラの作家、芸術家、知識人たちの創造性と楽観主義の爆発において不可欠な役割を果たした。特に、1966年に設立され、彼も創設メンバーであったカリブ芸術家運動(CAM)はその代表例である。

近年、ウィリアムズの20世紀英国美術への貢献は国際的に再評価されており、テート・ブリテンでの常設展示入れ替え(2023-24年)では、彼の作品に一部屋が捧げられた。また、ポーランドのウッチ美術館や米国テキサス州フォートワース近代美術館での大規模な展覧会も開催されている。昨年には、彼の先駆的な業績に関する初の主要なモノグラフも出版された。

本展は、ウィリアムズの芸術における独自性と、その幅広い関心を探求する貴重な機会となるだろう。

Aubrey Williams
Aubrey Williams. Towakaima I, 1965. Oil on canvas, 122 x 153 cm. © Estate of Aubrey Williams. Courtesy the Estate of Aubrey Williams and October Gallery, London.

展覧会情報

  • 展覧会名: Aubrey Williams: Elemental Force
  • 会場: October Gallery (24 Old Gloucester Street, London WC1N 3AL)
  • 会期: 2025年5月22日 – 7月26日
  • 開館時間: 火曜日~土曜日、12:30 – 17:30
  • 入場料: 無料

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