ナショナル・ギャラリーは、2025年から2027年にかけて「ナショナル・ギャラリー・マスターピース・ツアー」を開催することを発表した。このツアーでは、クロード・モネの作品「アルジャントゥイユのプチ・ブラ・ドゥ・ラ・セーヌ」(1872年)が英国内の4つの美術館を巡回する。
この絵画は、パリ近郊の小さな郊外の町、アルジャントゥイユの冬の日の静かな風景を描いている。モネは、産業化が進み、セーリングやレジャーボートの人気スポットとなっていた町の喧騒を直接的には描かず、木々の向こうに散在する建物をわずかに示唆するのみである。代わりに、川辺の親密な瞬間に焦点を当てている。整然とした構図、多様な筆触、水面の反射はモネの作品に共通する特徴である。
ツアーの開催場所は、ノリッジのセインズベリー・センター、サウス・シールズ博物館・美術館、ブラックプールのグランディ美術館、ハルのフェレンズ美術館である。各パートナー美術館は、地域のコミュニティ組織と協力し、展示や公共プログラムを支援する。また、それぞれの美術館は、自分たちとコミュニティにとって最も関連性の高いテーマを探求し、独自の展示を開発する。
セインズベリー・センターでは、「殺し合いをやめることはできるか?」というテーマの2025年シーズンの一環として、この作品を展示する。サウス・シールズ博物館・美術館では、モネの作品と地元の自然を結びつける展示を行う。ブラックプールのグランディ美術館では、現代美術の展示とモネの作品を組み合わせる。フェレンズ美術館では、障害のある子供や若者のグループと協力して、多感覚的で没入型の空間を作り出す。
ナショナル・ギャラリーのガブリエレ・フィナルディ館長は、「ナショナル・ギャラリーのコレクションは私たち全員のものです。これらの絵画を管理し、人々のいる場所に持っていくことは、私たちの義務であり、名誉でもあります」と述べている。
この巡回展は、ヒスコックス社の支援により実現した。同社のアート・プライベートクライアント部門責任者であるロバート・リード氏は、「重要な芸術作品をより広い観客に届けるというマスターピース・ツアーの取り組みを非常に支持しています」とコメントしている。
ナショナル・ギャラリー・マスターピース・ツアー2025-27の開催日程は、2025年から2027年までとなっている。