新作アクションコメディ『ヘッド・オブ・ステイト』は、極めて個人的な国際危機を中心に据えた、意欲的な設定を提示する。この映画は、世界の二大指導者であるアメリカ大統領とイギリス首相が、陰謀によって孤立し追われる身となった後、不本意ながらも同盟を結ばざるを得なくなるというシナリオを描く。本作では、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でスクリーン上の見事な化学反応を見せたジョン・シナとイドリス・エルバが再共演し、プリヤンカー・チョープラー・ジョナスが加わって中心となる三人組を形成する。この映画の存在自体が、この化学反応の直接的な結果である。両作品を手がけたプロデューサーのピーター・サフランは、その証明済みの力強い関係性を軸に新しいプロジェクトを構築する機会を見出した。Amazonスタジオは、観客が以前に好意的に反応した特定のエネルギーを再現することを目指し、既存の成功したスターの組み合わせを中心に据えた意欲的な作品を構築するという計算された戦略で、この企画を獲得した。Amazon MGMスタジオが配給する本作は、現在プライム・ビデオで配信中である。
混沌の中で築かれた、危険な同盟
『ヘッド・オブ・ステイト』の物語の原動力は、二人の主人公の際立った対照性にある。ジョン・シナが演じるのは、アクション映画スターとしての成功したキャリアから大統領執務室へと転身した、新任のアメリカ大統領ウィル・デリンジャーだ。彼の政治スタイルは、絶大なカリスマ性、記録的な支持率、そして公務の経験はほとんどないものの、その魅力であらゆる問題を解決できるという純粋な信念によって特徴づけられる。対照的に、イドリス・エルバが演じるのはイギリス首相のサム・クラーク。クラークはケンブリッジ大学を卒業した元SAS特殊部隊員で、生涯を政治に捧げてきた。彼は現実的で実直な指導者だが、在任6年目にして有権者の不満の低下と、デリンジャーのセレブリティ主導のアプローチに対する根深い皮肉に直面している。二人の公然のライバル関係は、両国間の歴史的な「特別な関係」を危機に陥れている。
物語の発端は、二人の指導者が、本意ではないものの、イタリアで開催される重要なNATO首脳会談にエアフォースワンで共に搭乗することに同意したことから始まる。飛行中、航空機は傭兵に攻撃され、敵地の上空で撃墜され、ベラルーシに墜落する。死亡したと見なされたデリンジャーとクラークは、外部の助けを借りずに生き残るための絶望的な戦いを強いられる。冷酷なロシアの武器商人ヴィクトル・グラドフ(パディ・コンシダイン)が雇った暗殺者に追われる中、二人は敵意を脇に置き、互いだけを頼りにしなければならない。彼らは墜落現場から羊を運ぶトラックで脱出し、ポーランドのワルシャワを目指す。やがて彼らの旅には、プリヤンカー・チョープラー・ジョナスが演じるMI6の非常に有能なエージェント、ノエル・ビセットが予期せず現れ、助けとなる。任務失敗後に死亡したとされていたビセットは、首相クラークと軍隊時代に恋愛関係にあった過去を持つ。三人は協力して陰謀を解き明かし、この攻撃がNATO条約を解体して西側世界を不安定化させるための、より大きな計画の一部であることを発見する。『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』の脚本家、ジョシュ・アッペルバウムとアンドレ・ネメックによる脚本は、この政治的枠組みを物語の推進力として利用し、世界的な危機を効率的に設定し、物語をおなじみのバディ・アクションというジャンルへと導いていく。

対照的な才能の頂上会談
『ヘッド・オブ・ステイト』の核心は、二人の主演俳優の力強い関係性であり、それはスクリーン上で既に確立された彼らの相性を意図的に基盤としている。ジョン・シナが演じるウィル・デリンジャー大統領は、かつての映画キャリアのカリスマ性を大統領執務室に持ち込む、限りなく楽観的で誠実な指導者として描かれている。対照的に、イドリス・エルバが演じるサム・クラーク首相は、地に足のついた、無骨で皮肉屋な「常識人」役だ。二人の間で繰り広げられる絶え間ない口論と、やがて芽生える不本意ながらの敬意が、この映画のコメディと感情の主軸をなしている。
プリヤンカー・チョープラー・ジョナスが演じるMI6エージェントのノエル・ビセットは、手ごわい第三の主役として位置づけられている。『クワンティコ』や『シタデル』といった作品でアクションスターとしてのキャリアを積み重ねてきた彼女は、広範な格闘シーンを見事な身体能力でこなす、聡明でタフな工作員だ。また、彼女のキャラクターは、くだらないダジャレを好むという顕著な傾向で、映画の軽快なトーンにも貢献している。映画のコメディ要素の大部分は、ワルシャワのCIAエージェント、マーティ・コマーを演じるジャック・クエイドからもたらされる。彼は神経質だが心から真面目な政府職員であり、デリンジャー大統領の映画キャリアの熱烈なファンでもある。控えめな外見とは裏腹に、彼は記憶に残るアクションシーンで驚くほど勇敢な戦士であることを証明し、映画のコメディのハイライトの一つを提供している。映画はパディ・コンシダイン、カーラ・グギーノ、スティーヴン・ルートといった強力な助演陣によって支えられているが、その多くはスクリーンタイムが限られた単調な役柄に留まっている。これは、ストリーミング向けのアクションコメディによく見られる戦略的なリソース配分であり、助演キャラクターの深みよりも、主演三人組の化学反応と息もつかせぬペースを優先しているようだ。
アクションコメディの設計者たち
『ヘッド・オブ・ステイト』の監督は、『ハードコア』や『Mr.ノーバディ』といった作品で、その独特でダイナミックな映像スタイルで知られるイリヤ・ナイシュラーが務める。ナイシュラーは、映画のアクションシーンに個性とセンスを吹き込み、残虐さとコメディのバランスを取ることで、一般的なストリーミング向けアクション映画のレベルを超えた作品に仕上げている。彼のミュージックビデオでの経験は、アクションの安定したリズムに反映されている。脚本はジョシュ・アッペルバウムとアンドレ・ネメックのコンビが執筆し、原案はハリソン・クエリーが担当した。アッペルバウムとネメックは、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のような大規模で意欲的な大作を手がけたことで知られている。
映画の洗練された映像は、撮影監督ベン・デイビスの仕事によってさらに高められている。彼は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『エターナルズ』といったマーベルの大作から、『スリー・ビルボード』のような評価の高いドラマまで、多彩なフィルモグラフィーを持つベテランである。物語の世界的なスケールは、プロダクションデザイナーのナイアル・モロニーの仕事によって実現されている。彼のクレジットには、『シャーロック・ホームズ』や『メリー・ポピンズ リターンズ』といった主要作品での美術監督としての経験が含まれる。制作は多国籍にわたり、ロンドン、リバプール、トリエステ、ベオグラード、そしてフランスのリビエラで撮影が行われ、その大規模なロジスティクスを反映している。こうした才能の組み合わせは、特定の戦略を示唆している。つまり、独特のスタイルを持つ監督と、従来の脚本を組み合わせることで、大衆向けに安全でありながら、視覚的に記憶に残り、他と一線を画す製品を生み出すことである。
計算されたメッセージを持つ、現代的なレトロ作品
『ヘッド・オブ・ステイト』は、1980年代から90年代の映画の定番であった「ありえない二人組」のバディ・アクションというジャンルにしっかりと根を下ろしている。性格の異なる二人が状況によって協力せざるを得なくなり、それがコミカルな摩擦や友情へと発展していくという、確立された形式を踏襲している。映画のトーンは自覚的で、臆することなくコメディに徹しており、その「馬鹿馬鹿しさとおかしみ」を怠惰ではなく、愛すべき魅力として受け入れている。純粋なエンターテインメントとして設計された「ポップコーン・ムービー」であり、90年代のアクションコメディを彷彿とさせる独特のレトロ感がある。
このバディ・アクション形式の採用は、世界市場にとって思想的に「安全」な選択でもある。監督のイリヤ・ナイシュラーは、観客を分断するのではなく、団結させることを目指し、政治を背景としたエンターテインメントを創造することが目標だったと述べている。この映画は、中心的な対立を特定の政治イデオロギーではなく、デリンジャーのポピュリスト的な見世物とクラークの伝統的な実質主義という、リーダーシップのスタイルの違いとして描くことで、それを達成している。敵役は典型的なロシアの武器商人と内部の陰謀者であり、特定の層を遠ざけることのない古典的な悪役だ。政治を性格の衝突に還元することで、この映画はより普遍的に受け入れられやすい製品となり、複雑で分裂を招く現実世界の問題に関わることなく、世界中のプライム・ビデオの視聴者が容易に消化できるものとなっている。
公開情報
『ヘッド・オブ・ステイト』は2025年7月2日にプライム・ビデオで全世界に公開された。