Curtis Institute of Music の巡回企画 Curtis on Tour が、Fundación Juan March でオペラ・アリア、サルスエラの抜粋、スペインの芸術歌曲、そして器楽のショーピースを組み合わせたプログラムを届ける。出演はソプラノの Jeysla Rosario Santos と Nikan Ingabire Kanate、バリトンの Emilio Vásquez、ギタリストの Xingxing Yao、ピアニストの Kārlis Bukovskis。マドリード公演は Fundación Juan March が主催する。本公演は、ひとつのリサイタル形式のなかでイタリア・ベルカントとスペインの歌・舞台伝統を並置する構成となっている。
プログラムは Gaetano Donizetti のコンサート・セーナ「Uno sguardo ed una voce」で幕を開け、続いて Gioachino Rossini《Il barbiere di Siviglia》から「Largo al factotum」「Una voce poco fa」そして二重唱「Dunque io son…」を集めたセクションへと進む。このロッシーニのセットは、バリトンのブラヴーラ・ナンバー、コロラトゥーラ・アリア、機敏な受け答えが続く二重唱をバランスよく配し、夜のオペラ的コアを形成する。 器楽の軸は Federico Moreno Torroba によるギター独奏《Sonatina》(Allegretto/Andante/Allegro)。スペイン語歌曲では Ernesto Cordero「La Hija del Viejo Pancho」「Madrugada」「El Viaje Definitivo」がソプラノとギターのデュオを際立たせ、Franz Liszt の《Rigoletto Paraphrase》がピアノ独奏のヴィルトゥオーゾ作品として据えられる。
曲目の割り当てはアンサンブル全員にわたって配分される。ドニゼッティは Rosario Santos と Ingabire Kanate が Bukovskis とともに演奏し、ロッシーニのセクションは Vásquez と Ingabire Kanate が Bukovskis と共演。Yao はトローバ《Sonatina》でソリストを務め、Rosario Santos はコルデロ歌曲で Yao とデュオを組む。Bukovskis はリストのパラフレーズでソロのスポットライトに立つ。終盤はイベリアの舞台・大衆伝統に根ざす、Gerónimo Giménez《El barbero de Sevilla》の「Me llaman la primorosa」と Agustín Lara《Granada》で締めくくられる。
Curtis on Tour は、Curtis Institute of Music の声楽・ギター・ピアノ各分野から、キャリア初期のアーティストを紹介するシリーズである。本イニシアチブは、正統レパートリーと地域文化に根差した選曲を架橋するプログラムを通じて、カーティスの音楽家を国際の聴衆の前に送り出すことを旨とする。 マドリード公演では、イタリア・オペラの抜粋、スペイン・ギターのレパートリー、そしてサルスエラを組み合わせることで、ベルカントの書法を20世紀の器楽語法や広く親しまれる歌曲と対置させるアプローチが明確になる。
出演: Emilio Vásquez(バリトン);Xingxing Yao(ギター);Kārlis Bukovskis(ピアノ);Jeysla Rosario Santos(ソプラノ);Nikan Ingabire Kanate(ソプラノ)
主催: Fundación Juan March
会場・日時:Fundación Juan March(マドリード、Castelló 77)— 2025年10月12日(日)12:00/2025年10月13日(月)12:00。
