イタリアの著名な映画監督マルコ・ベロッキオが手掛ける新作テレビシリーズ「Portobello」が、Warner Bros. Discovery傘下の新ストリーミングプラットフォームMaxで配信されることが発表された。この作品は、1970年代に起きた実際の事件を基に、有名テレビ司会者の人生を劇的に変えた冤罪事件を描く6話構成のドラマシリーズである。
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「Portobello」は、イタリアのテレビ界で人気を博したエンツォ・トルトーラの実話に基づいている。トルトーラは、1977年から7シーズンにわたって放送された実在の人気テレビ番組「Portobello」の司会者として知られていた。しかし、彼の人生は突如として暗転する。司法協力者たちによって、麻薬取引に関与する犯罪組織の一員であると告発されたのだ。
この告発により、トルトーラは逮捕され、長年にわたる裁判に直面することとなった。最終的には全ての容疑について無罪が確定したものの、この事件は彼の人生に深い影を落とした。
シリーズの主演を務めるのは、イタリアの実力派俳優ファブリツィオ・ジフーニ。エンツォ・トルトーラ役を演じる。共演には、リノ・ムセッラ、ロマーナ・マッジョーラ・ヴェルガーノ、バルボラ・ボブローヴァ、アレッサンドロ・プレツィオージ、ファウスト・ルッソ・アレージらが名を連ねている。
脚本は、ベロッキオ監督自身に加え、ステファノ・ビセス、ジョルダーナ・マリ、ペッペ・フィオーレが担当。撮影はフランチェスコ・ディ・ジャコモ、美術はアンドレア・カストリーナ、衣装はダリア・カルヴェッリ、編集はフランチェスカ・カルヴェッリ、音楽はテオ・テアルドが手掛けている。
製作は、メディアワングループ傘下のOur Filmsとカヴァック・フィルムが担当。アルテ・フランスとの共同製作で、フレマントルグループのThe Apartment Picturesも協力している。プロデューサーは、Our Filmsのロレンツォ・ミエリとマリオ・ジャナーニ、カヴァック・フィルムのシモーネ・ガットーニが務めている。
「Portobello」の撮影は既にローマで開始されており、現在も進行中だ。サルデーニャ、カンパーニャ、ロンバルディアなどのロケーションも予定されている。
この作品は、Maxにとってイタリアで制作する初のオリジナルドラマシリーズとなる。フランス、ドイツ、ベネルクス地域を除く世界各国でMaxプラットフォームを通じて配信される予定だ。
マルコ・ベロッキオ監督は、イタリア映画界の重鎮として知られる。彼の作品は、社会的・政治的なテーマを深く掘り下げることで評価されており、「Portobello」もその流れを汲むものと期待されている。
エンツォ・トルトーラの事件は、イタリアの司法制度に大きな疑問を投げかけた。この作品を通じて、冤罪の恐ろしさや、メディアが与える影響力について、視聴者に新たな視点を提供することが期待される。
「Portobello」は、単なる伝記ドラマにとどまらず、イタリアの近現代史を映し出す鏡としても機能するだろう。ベロッキオ監督の鋭い洞察力と、豪華キャスト陣の演技力が相まって、深い社会的意義を持つ作品になることが予想される。