英国現代美術界で最も権威ある賞の一つ、ターナー賞。その2024年の栄誉に輝いたのは、アーティストのジャスリーン・カウルです。テート・ブリテンで開催された授賞式で、カウルは25,000ポンドの賞金と共にこの栄誉を手にしました。
カウルの受賞作「Alter Altar」は、日常的な物品を音楽と音響で活性化させ、コミュニティと文化的遺産を喚起する独特のアプローチが評価されました。審査員は、個人的、政治的、精神的要素を巧みに織り交ぜた彼女の作品を高く評価。アイアン・ブリュー(スコットランドの炭酸飲料)から家族写真、ヴィンテージのフォード・エスコートまで、予想外で遊び心のある素材の組み合わせが、レジリエンスと可能性の瞬間を捉えていると称賛しました。
展示では、視覚と聴覚の体験が巧みに振り付けられ、連帯感と喜びを同時に表現。カウルの作品は、日常の物品を通じて深遠な文化的な物語を紡ぎ出し、観る者の心に強く訴えかけます。
今年のターナー賞は、賞の40周年を記念する特別な年でもありました。他のノミネート作家には、ピオ・アバド、クローデット・ジョンソン、デレイン・ル・バスが選ばれ、それぞれが博物館の物品、音響とインスタレーション、個人的な神話、肖像画など、多様な手法で自己、家族、コミュニティの親密な感覚を表現しました。
ターナー賞展は2025年2月16日までテート・ブリテンで開催されます。来年の賞は、2025年UK文化都市の祝賀の一環として、ブラッドフォードのカートライト・ホールで開催される予定です。
この賞は、英国現代美術の新たな展開について公共の議論を促進することを目的としています。カウルの受賞は、日常と芸術の境界を曖昧にし、文化的アイデンティティを探求する現代アートの傾向を反映しています。