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『Fiasco』――撮影現場の舞台裏で起きる大混乱が、映画制作を見世物に変える

「なんたるフィアスコ?!」は、イゴール・ゴテスマンとピエール・ニネーによって制作されたフランスのコメディシリーズ。主演はピエール・ニネイ、フランソワ・シビル、ジェラルディーヌ・ナカシュ、ヴァンサン・カッセル。
Veronica Loop
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カメラが激しく揺れ、スタッフの一人がケーブルにつまずく瞬間を捉える。機材は床に派手な音を立てて落下する。Fiascoの冒頭を飾るこのショットが、シリーズ全体の空気を決定づける。混沌として先が読めず、ブラックユーモアが漂う世界だ。イゴール・ゴテスマンとピエール・ニネが手がけた、Netflix向けのフランス製モキュメンタリー・ミニシリーズは、映画制作という災難にもなりうる営みへのラブレター。しかも、居心地が悪くなるほど現実味のある仕立てになっている。

ピエール・ニネが演じるのは、初めて長編映画を監督する新人。フランスのレジスタンス運動に身を投じた祖母の英雄的な過去を題材に、デビュー作の撮影に挑む。だが、始まって早々に事態はつまずき始める。意思疎通の食い違い、ぶつかり合う自我、そして度を越した無能ぶりで、撮影現場は収拾のつかない状態だ。舞台裏を撮影するクルーは、あらゆる失敗を記録し、制作そのものを見世物へと変えていく。Fiascoが描くのは、映画ができあがるまでの過程だけではない。一本の映画が崩れていくさまでもあり、野心と現実のあいだに生まれる緊張感こそが、このシリーズの原動力となっている。

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Fiascoを際立たせているのは、モキュメンタリーという形式を徹底している点だ。手持ちカメラで撮影し、ドキュメンタリー調のインタビューを織り交ぜることで、シリーズはフィクションと現実の境界を曖昧にする。この手法によって、撮影現場の混乱からキャストやスタッフの率直な告白へと、テンポよく切り替わるユーモアが生まれている。ドキュメンタリー風の演出は、本物らしさも加えている。まるで実際の撮影現場を盗み聞きしているような感覚があり、だからこそ次々と起こる災難もいっそう面白く感じられる。

監督役を演じるピエール・ニネの存在が、シリーズの中心を支えている。必死で経験不足な監督を、笑いを誘いながらも共感できる人物として描き出した。ニネは役柄の苛立ちや弱さを的確に表現し、欠点だらけでありながらも親しみを感じさせる。トムとバルタベの二役を演じるフランソワ・シヴィルは、作品に鮮烈な勢いをもたらす。予測不能な振る舞いが、何をしでかすかわからない存在感を生み、視聴者を飽きさせない。ジェラルディーヌ・ナカシュやパスカル・ドモロンをはじめとする脇を固めるキャストも、細やかな演技で混沌としたアンサンブルに奥行きを加えている。

映画制作についてのメタ的な考察も、このシリーズの大きな魅力のひとつだ。マチュー・カソヴィッツの悪名高いBabylon A.D.の撮影と、そのメイキング・ドキュメンタリーFucking Kassovitzに着想を得たFiascoは、映画業界をただからかうのではなく、解剖する。舞台裏の映像には本物さながらの混乱があり、笑いの多くは決めぜりふではなく、状況そのもののばかばかしさから生まれる。たとえば、いくつものトラブルが重なり、クルーが簡単なショットひとつを撮るのにも苦労する場面は、実におかしい。それと同時に、映画制作を知る人なら誰もが身に覚えのある、痛いほどリアルな光景でもある。

とはいえ、Fiascoにも弱点はある。モキュメンタリーの形式は見応えがあるものの、ときに同じことの繰り返しに感じられる。シリーズは似たような衝突や笑いに頼るところが大きく、後半のエピソードでは停滞感につながることもある。テンポが乱れる場面もあり、狙ったほどの効果を上げられず、空振りに終わる冗談もある。さらに、ドキュメンタリー風のインタビューは本物らしさを添える一方で、単なる尺埋めに思えることもある。エネルギーに満ちた作品ではあるが、現実的な危機や結果がほとんどないため、ドラマが薄っぺらく感じられるときもある。

作品はトーンの面でも苦戦している。Fiascoは笑いとドラマの両立を目指しているが、しばしばコメディに傾きすぎ、そのぶん感情の深みが損なわれている。映画制作の舞台裏をのぞけるのは興味深いものの、シリーズは自らの混乱に足を取られ、物語の核にある人間模様を見失うことがある。

こうした欠点はあるものの、Fiascoは映画制作の舞台裏を独自の視点から描く、巧みで楽しいコメディだ。業界をめぐるメタ的な考察が好きな人や、ブラックユーモアと混沌とした勢いを楽しめる人にはぴったりの作品だろう。完璧なシリーズではないが、笑いどころも、考えさせられる場面もたっぷりと用意されている。

Fiascoは2024年4月8日にCanneseries Festivalでワールドプレミア上映され、その後、同年4月30日にNetflixで配信された。

結論として、Fiascoは映画制作という災難にもなりうる営みを、混沌とした予測不能なブラックユーモアとともに描く作品だ。欠点はあるものの、見る価値のある笑いと洞察に満ちた場面をたっぷり届けてくれる。

キャスト

写真:The Movie Database (TMDB)

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