サイエンス

ありふれた磁石コバルトが室温で生き残る量子状態を隠していた

Peter Finch

コバルトは地球で最もよく調べられた磁石のひとつで、教科書を埋め、電池からジェットエンジンまであらゆるものに現れる元素だ。ベルリンのヘルムホルツ研究所(Helmholtz-Zentrum Berlin)の物理学者たちは今回、それが風変わりな電子状態の密な網を隠し持ち、その網が室温でも崩れずに保たれていることを突き止めた。

この状態は磁気ノーダルラインと呼ばれる。スピンの向きで仕分けられた二つの電子の流れが、衝突せずに交差し、個々の点で出会うのではなく結晶を貫く連続した経路を描く場所のことだ。こうした性質はトポロジー、つまり物質の構造に深く刻み込まれていて、ありふれた乱れでは消せない特徴を扱う物理学の一分野に属する。コバルトでは、その交差が珍しい片隅にとどまらず、金属全体に織り込まれているのをチームは見いだした。

際立つのは、状態が存在することだけではなく、ふつうの部屋の暖かさを生き延びる点だ。物理学者が追う量子的なふるまいの多くは、熱が取り除かれ、もろい効果がようやく見える絶対零度近くでしか現れない。コバルトのノーダルラインはそれより数百度高い温度でも持続する。それは実験室の珍品と、実際の素子が使えるものとの違いである。

それを見るために、研究者たちはスピン・角度分解光電子分光という手法を用いた。光で物質から電子をたたき出し、そのエネルギーとスピンの向きの両方を記録する技術だ。測定が要求する強く精密に整えられた光を生み出す、ベルリンのシンクロトロンBESSY IIで行った。高い分解能のおかげで、コバルトの電子構造をこれまでよりはるかに詳しく描き出すことができ、何十年も見過ごされてきた網がついに姿を現した。

「実用に向けて求められている、まさにそのオン・オフ機能だ」と、国際チームを率いたハイメ・サンチェス=バリガは言う。状態はコバルトの磁性と結びついているため、磁場の向きを反転させれば操れる。技術者がスピントロニクスのために欲しがる取っ手だ。スピントロニクスは情報を電荷ではなく電子のスピンに符号化し、より速く、より発熱の少ないチップを約束する。

これは物質の性質の測定であって、動作する素子ではない。その隔たりは大きい。シンクロトロンのビーム下で結晶中のトポロジカル状態を地図化することは、それを大規模に使うチップを作ることとはほど遠く、ほかのグループが結果を再現し、効果が入念に準備した試料の外でも保たれるかを確かめる必要がある。著者らはコバルトを、完成した技術ではなく、調整可能な探究の場と位置づける。

それでも魅力の一端は、まさにコバルトがありふれている点にある。すでに採掘され、精錬され、工業規模で作られている物質は、量子研究を占める希少で繊細な化合物よりはるかに採り入れやすいだろう。

成果は学術誌Communications Materialsに掲載された。チームは磁場を回したときにノーダルラインがどう応じるかを地図化する計画で、コバルトの隠れた構造を働かせられるかどうかを知るための次の一歩となる。

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