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細木を「嫌いだった」と監督 Netflix『地獄に堕ちるわよ』が描く距離https://www.youtube.com/watch?v=DyiPEHiMMfY細木を「嫌いだった」と監督 Netflix『地獄に堕ちるわよ』が描く距離

Jun Satō

最初のカットが始まる前に、画面にひとつの注意書きが映る。「この物語は実話に基づくフィクションです」。これは法的な免責ではない。2000年代初頭の日本のテレビを十年近く支配した占い師・細木数子の半生を描く伝記ドラマの、最初の物語上の判断である。そして制作陣はその判断を堂々と認める。彼らは、いま描き終えたばかりの女性を、最後まで信じていないからだ。距離は演出ではなく、方法である。

細木は、公式には占いを信じない国の茶の間を、ほぼ十年支配した。「地獄に堕ちるわよ」という決め台詞は日常語に侵入した。自身が考案した六星占術の著書は、カテゴリー別ギネス世界記録を打ち立てた。2004年から2008年にかけてのゴールデンタイムでは、複数のバラエティ番組が日本の世帯視聴率およそ20%を記録した。だがこのドラマが問うているのは、彼女が「救世主か、ペテン師か」という見慣れた二択ではない。それより落ち着かない別の問いを置く――どんな国がこのような人物を作り出し、知りながら見続けるのか。

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疑い始める書き手

疑いはこのドラマの構造そのものに刻まれている。細木は自伝の代筆を依頼された作家・魚澄美乃里に、自らの来し方を語って聞かせる。演じるのは伊藤沙莉。Netflixが戦後日本の自己創造的人物を描いた前作『全裸監督』を支えた、まさにその俳優である。美乃里は記録者として現場に入る。視聴者の分身である。回を追うごとに彼女は語られる内容を疑い始め、視聴者もまた彼女とともに疑い始める。演出が意図してそこに導くからである。

戸田恵梨香は、細木を17歳から66歳まで演じる。派手な特殊メイクには頼らない。変わっていくのは目線である。17歳では観察し、30代では交渉し、50代では裁定し、60代では宣告する。同じ所作の四つの音域。戸田は撮影前、公の場で「細木数子が嫌いだった」「テレビに出てきたらチャンネルを変えていた」と発言している。監督の瀧本智行も同じことを語った。つまりこのドラマは、自らの主人公を愛さないという表明された決意のもとに撮られた――その両義性こそが、各カットの肌理を作っている。

知りながら見続けた国

細木はテレビに偶然たどり着いたのではない。彼女の学校は夜の銀座だった。戦後の幼少期、生き延びるためにミミズまで口にした飢えの後、二十代で複数のホステス・クラブを切り盛りし、「銀座の女王」と呼ばれた。歓楽街で優れた「ママ」を作る能力――他人の渇きを読む、客が口にできない言葉を代わりに発する、取引を慈しみのように見せる――は、二十年後に彼女をテレビの占い師に変えたのと同じ能力である。

告発は早くから繰り返された。多くは霊的必需品として売られた高額な墓石の押し売りに関するものであった。何度も調査されながら、テレビ局との契約には影響しなかった、文書として残る商売の型である。組織犯罪との関係をめぐる噂も、同じ周期で浮かんでは消えた。どれも視聴率を揺るがさなかった。ドラマはこれらの告発をスキャンダルとしてではなく、証拠として扱う。通報を知りながら見続けた国は、ある特定の集合的同意を生産していたのだ、という証拠として。

このドラマの読みが通常の伝記の枠を越えるのは、まさにここにおいてである。細木の絶頂期、日本のテレビはまだ単一文化であった。それは産業規模で道徳的権威を製造し、親密さの符牒――粗野な率直さ、礼節への無頓着、慣習への無関心――でそれを着付けることができた。細木はその装置を、その破綻点まで体現した。彼女が2000年代後半に画面から退いたとき、テレビと視聴者を結んでいた暗黙の契約もまた、ほどけ始めていた。信仰はやがて別の場所へ移ろうとしていた――より断片化され、よりアルゴリズム化された場所へ。だが、確かな人物への渇きが薄い場所、というわけではなかった。

細木数子は救世主であったのか、それとも詐欺師であったのか。ドラマは答えることを拒む。その拒絶は、実のところ構造的である。自らの懐疑を作家という登場人物に外在化し、フィクションであるという告白から始まり、自分たちの主人公を一度も信じなかったと認める作り手たちによって担われることで、この伝記は問いを視聴者の側に返す。一国がひとりの預言者を選び取ったとき、本当に裁かれるべきは、その預言者の個人的な性格なのか。

Straight to Hell - Netflix
Straight to Hell – Netflix

『地獄に堕ちるわよ』は4月27日、Netflixで世界配信される。全9話の演出は瀧本智行(『忍びの家』『脳男』)と大庭功睦(『ガンニバル』シーズン2)の共同。脚本は真中まなか、音楽はNHK大河ドラマ『どうする家康』(2023)を手掛けた稲本響が担当した。

主演は戸田恵梨香が細木数子を演じ、伊藤沙莉が魚澄美乃里役を務める。出演にはほかに、細木の運命に絡む男の一人を演じる生田斗真、昭和の歌手・島倉千代子役の三浦透子をはじめ、奥野瑛太、田村健太郎、中島歩、余貴美子、石橋蓮司、富田靖子らが名を連ねる。製作はジャンゴフィルム、Netflixの日本コンテンツ枠での配信となる。

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