音楽

IVEは「LUCID DREAM」で第4世代K-POPが内省できるか試す

6曲の新EP「LUCID DREAM」でIVEが試みるのは、宣言としてのアイデンティティから夢の内側の意識への転換だ。第4世代K-POPが得意とした「自己主張」の先に何があるのかを、グループは音楽を通じて問いかける。
Alice Lange

IVEの新EP「LUCID DREAM」は6曲で構成され、夢の中で意識が自分自身を認識するという単一のテーマへと向かっている。グループがデビュー以来積み上げてきた「アイデンティティを宣言する」スタンスとは一線を画し、このEPは主張の代わりに内省の空間を提示する。日本を主要市場に据えたこの展開は、第4世代K-POPの表現可能性を問う試みとして注目される。

第4世代K-POPにおいて、IVEは自己肯定と存在の確立を中心に据えたポップを得意としてきた。「I AM」では個の存在を高らかに宣言し、グローバルなファン層に強い印象を残した。「LUCID DREAM」はその系譜の延長線上にあるが、主張の向きが外ではなく内側へ反転している点で明確な分岐点を形成する。

YouTube video

MusicBrainzに正式なEPとして登録されたこの作品には、6曲の収録が確認されている。Last.fmのデータでは、公開直後から1万1000人以上のリスナーが記録され、総再生回数は3万6000回を超えた。現時点でスポティファイでの配信は行われておらず、日本を中心としたアジア市場での展開が先行している。

批判的な視点も避けられない。「夢」というメタファーはコンセプトとして抽象性が高く、IVEがこれまで得意としてきたコンセプトの明快さから距離を置くことになる。宣言型のK-POPが「わかりやすさ」を手放したとき、ファン以外のリスナーへの訴求力がどう変化するかは未知数であり、スポティファイ不在という配信上の制約もその問いに輪をかける。

第4世代K-POPの成熟局面で「内省」というテーマが選ばれたことには意味がある。自己肯定の宣言期を経たグループが次に向かうべき表現領域として、意識の内側は必然的な目的地かもしれない。明晰夢——夢と知りながらも夢の中にとどまる状態——というメタファーがK-POPの自己表現言語として採用されたこと自体、このジャンルの意味論的な拡張を示している。

「LUCID DREAM」は2026年5月27日リリースで、IVEの今後のプロモーションは日本市場を軸に展開される見通しだ。スポティファイ配信の有無と国際的なロールアウトの詳細は、グループのレーベルによる今後の発表を待つことになる。

ディスカッション

0件のコメントがあります。