音楽

坂道グループ史上初、櫻坂46がダブルA面シングルで二つの顔を見せる

Alice Lange

「Lonesome rabbit」は、一人でいることを受け入れ、そのまま生きていくことを歌った楽曲だ。静かで内省的な世界観は、グループがリブランディング後に築いてきたアイデンティティを体現している。一方「What’s ‘KAZOKU’?」は、TVアニメ「ミッション:ヨザクラ家」第2期のオープニングテーマとして制作された、温かく明るい楽曲で、言葉を交わさなくても通じ合える家族の存在と絆を問い直す。

坂道グループ初のダブルA面という形式自体が、ひとつのメッセージだ。2ndおよび3rdジェネレーションの22名が参加した全6曲収録のこのシングルは、キャリアを通じて築いてきたスタイルに自信を持ち、新たな方向性へと踏み出す意志を示している。Keyakizaka46からのリブランディング以降、グループは内省と静かな強さを軸としたアイデンティティを構築してきたが、その軸の上で初めて外へ向かう試みがなされた形だ。

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「What’s ‘KAZOKU’?」のアニメ主題歌としての役割は、ファン層の拡大という意味でも重要だ。「ミッション:ヨザクラ家」は、スパイとしての使命と家族としての日常を同時に生きるキャラクターたちを描いており、その世界観と楽曲の温かさは緊密に呼応している。BOYHOOD作詞の歌詞は、言葉を交わさなくても理解し合える関係、同じ屋根の下で積み重ねた日々の確かさを、アイドルグループの文脈で描いている。

「Lonesome rabbit」はその対極にある。リブランディング後の櫻坂46が一貫して歌ってきた「孤独を解決するのではなく、そのまま引き受ける」という姿勢が、この楽曲にも色濃く反映されている。2枚のA面センターを務める森田ひかるの起用は、新たな試みの中にも連続性を保つためのシグナルといえる。

BACKSメンバーの存在も今シングルでは前面に出ている。選抜に入らなかったメンバーが独自のライブサイクルと各シングルのB面楽曲を持つという体制は、櫻坂46独自の人材育成モデルだ。フロントのみに注目が集まる旧来の形式とは一線を画し、グループ全体の活動を広く可視化している。テイザー映像でBACKSメンバーが前面に押し出されたのも、そのモデルの継続を示している。

ダブルA面形式にはリスクもある。主題歌のタイアップという商業的な論理と、内省的な楽曲が持つ独自のムードが、互いを薄め合ってしまう可能性は否定できない。Keyakizaka46時代の記憶やリブランディング後の静かな美学を通じて櫻坂46を知ったファンが、「What’s ‘KAZOKU’?」の方向性をどう受け取るか——それは制作側がコントロールできる問いではない。

「Lonesome rabbit / What’s ‘KAZOKU’?」は6月10日に4種の初回限定版(TYPE-A〜D)と通常盤でリリースされた。アニメ「ミッション:ヨザクラ家」第2期は現在放送中だ。

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