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ザック・ガリフィアナキスの知ろう! 学ぼう! 農のコト Netflixで食料安全保障をコメディで問う

Jun Satō

ザック・ガリフィアナキス(Zach Galifianakis)は25年来の家庭菜園愛好家だ。カナダ・ブリティッシュコロンビア州南部のガルフ諸島に浮かぶデンマン島に居を構え、自ら牡蠣の殻を砕いて石灰肥料を作り、サトウカボチャの栽培に情熱を注ぐ。そんな彼がNetflixのために制作した新シリーズ、ザック・ガリフィアナキスの知ろう! 学ぼう! 農のコトは、表向きは庭いじりのコメディ番組だ。だがその実態は、気候変動と食料価格の高騰が現実となった2026年における食料自給の提言である。

フォーマットが語る主張

ガリフィアナキスは自らの代表作「Between Two Ferns」で培った技法を根本から反転させた。あの番組では、質問後の長い沈黙が有名人を追い詰めるための武器だった。新シリーズでは、同じ沈黙がまったく別の機能を担う。インタビューを受ける農家や子どもが、その場の専門家として輝くための余白を生み出すのだ。残酷さは消え、技法だけが残った。

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各エピソードの構造がこのシリーズの核心をなしている。ガリフィアナキスは毎回、好奇心旺盛な子どもたちと経験豊富な農家を同じ枠組みで取り上げる。大人が恥ずかしくて聞けない質問を子どもが投げかける。多品種栽培を実践し、エアルーム品種の種を守り、霜の日付に合わせて播種計画を立てる農家は、その問いに当然のように答える。ガリフィアナキスは持ち前のデッドパンでその間合いを支える。結果として生まれるのは、知識の伝達だと宣言しない知識の伝達だ。

制作陣が示すもの

制作はラディカルメディア(RadicalMedia)が担う。「Summer of Soul」(2022年アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞)、「Abstract: The Art of Design」、「My Next Guest Needs No Introduction with David Letterman」を手がけてきた同社は、ライフスタイルコンテンツの作り手ではなく、プレステージ・ドキュメンタリーの専門集団だ。その視覚的文法が画面に滲み出ている。監督のブルック・リンダー(Brook Linder)は撮影を振り返り、「ザックが長年したかった会話を、カメラの前で公式化したようなものだった」と語っている。

1エピソード15〜20分という短尺も意図的な選択だ。話が横道に逸れることを許し、複数の専門家の声が拙速な結論に急かされることなく積み重なっていく時間が確保されている。

バンクーバー島という選択

バンクーバー島とブリティッシュコロンビア州南部のガルフ諸島は、北米太平洋岸で最も発展した小規模農業ネットワークのひとつを擁する地域だ。パンデミック後に都市部から移住した人々が自給自足を求めてこの地に集まり、そのネットワークはさらに厚みを増した。ガリフィアナキス自身もその一人である。コモックス・バレーのアマラ・ファーム(Amara Farm)共同オーナーで食料安全保障の活動家、アルジーナ・ハミル(Arzeena Hamir)がシリーズに登場する農家の一人だ。アマラ・ファームは撮影の背景ではなく、ブリティッシュコロンビアの食料システムに実際に組み込まれた多品種農場である。ハミル氏は、世界的な食料価格の高騰と地域食料システムへの関心の高まりを踏まえ、このシリーズの公開時期には特別な意義があると公言している。

This Is a Gardening Show
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建前と本音

Netflixが2026年4月22日、アース・デイにシリーズを公開する判断を下したのは偶然ではない。プラットフォームはこの作品を特定の言説の文脈に置きながら、作品自体はその言説を表立って掲げない。ガリフィアナキスは取材の場では率直だった。CBCニュースのインタビューで「気候的に大きな嵐が来るかもしれない。子どもたちが多くを知れば、よりよく適応できる」と語っている。その言葉はエピソードの中にそのまま登場しない。だがシリーズ全体の見えない土台を成している。

コメディが本当に人の行動を変えられるのか、それとも不作為をより心地よくするだけなのか。本作が開いたまま閉じない問いがそこにある。6エピソードをすべて見て、馬の堆肥が菜園で最も効果的な土壌改良材だと学び、輪作の論理を理解し、その一切を心から面白いと感じた視聴者は、確かな体験を得たことになる。その後に何かを植えるかどうかは、視聴者自身が決める。それがこのシリーズの賭けだ。そして結末を知ることができない賭けでもある。

ザック・ガリフィアナキスの知ろう! 学ぼう! 農のコトは2026年4月22日、アース・デイよりNetflixにて配信。全6話、各話15〜20分。監督:ブルック・リンダー。プロデューサー:クリス・キム(Chris Kim)。エグゼクティブ・プロデューサー:ザック・ガリフィアナキス、フランク・シャーマ(Frank Scherma)、ジョン・ケイメン(Jon Kamen)。ラディカルメディアとビリオス・プロダクションズ(Billios Productions)の共同制作。

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