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綿矢りさ、十代で芥川賞を受けた作家がYOASOBIのNHK朝ドラ主題歌の原作小説を書き下ろす

Penelope H. Fritz
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綿矢りさ
生年1984年2月1日
Kyoto
職業小説家
受賞芥川賞 · 謙三郎大賞 · 島瀬ロマンチック文学賞

この秋、平日の朝ごとに何百万人もの日本の視聴者が耳にする曲は、綿矢りさの短編小説から生まれた。NHKの依頼を受け、彼女が原作を書き下ろした「咲きほこれ」は、9月末に始まった朝ドラBlossomのYOASOBIによるテーマ曲だ。小説家・宇野千代をモデルにしたヒロインの物語である。宇野を長年敬愛してきた綿矢は、原作に「Hana no inochi wa fumetsu nari」と名をつけた。シングルは10月半ばに発売された。その数日前には、デビューから四半世紀を記念し、4年間にわたって雑誌LEEに寄稿したエッセイをまとめた『Ma, sajikagen desho.』が集英社から刊行された。記念すべきデビューの舞台となったのは、瞬く間に大きな注目を集め、その後の20年をかけて作家として成長していくことになる10代の頃だった。

綿矢は、金閣寺に近い京都の閑静な住宅街で育った。母親は短期大学で英語を教え、父親は呉服会社に勤めていた。幼い頃は、両親にせがんで本を読み聞かせてもらっていた。10代になると太宰治に夢中になり、小説家を志す。両親は、彼女が大学受験の勉強をしていると思っていた。実際には、彼女は中編小説を書いていた。

その中編小説が、学校生活から離れた女子高生が、小学生の男の子に助けられながらパソコンでアダルトチャットの仕事をする『インストール』だ。2001年、第38回文藝賞を受賞。選考委員全員の一致による受賞だった。1984年2月1日生まれの綿矢は当時17歳で、20年間破られていなかった同賞の最年少記録に並んだ。2004年には上戸彩主演で映画化された。この受賞を機に早稲田大学へ進学し、後に同大学で太宰の『走れメロス』をテーマに卒業論文を書いた。

2作目で、注目の規模は一気に広がった。『蹴りたい背中』は、陸上部に所属しながら周囲になじめない高校1年生のハツと、アイドルに夢中なクラスメート・にな川との奇妙なつながりを描く。孤独が鐘のように鳴り響くなか、ハツがその音をかき消そうと配布物を細く裂く印象的な冒頭は、芥川賞の選考委員の意見を二分した。ある委員は文章が理解しがたいと評した一方、残る9人は支持した。2004年1月、19歳で大学2年生だった綿矢は、第130回芥川賞を受賞。『蛇にピアス』で同時受賞したのは、当時20歳の金原ひとみだった。綿矢は、1967年に23歳で受賞した丸山健二が保持していた最年少記録を塗り替えた。両作を掲載した2004年3月号の文藝春秋は、118万5000部という記録的な売り上げを達成。『蹴りたい背中』は、1976年の村上龍以来初めて、単行本で100万部を突破した芥川賞受賞作となった。

メディアは彼女を文学界のアイドルと呼んだ。ストーカー被害に遭い、『インストール』の映画の宣伝活動から距離を置いた後、壁にぶつかった。大学3年生の頃から2010年まで、およそ6年間にわたるスランプに陥ったのだ。つらい別れを経て京都に戻り、執筆を続けながらホテル、衣料品店、コールセンターで働いた。3年半ぶりとなる初の長編小説『夢を与える』は2007年に刊行された。三人称で描かれる物語は、テレビCMに出演する子役から国民的アイドルへと上り詰め、やがてスキャンダルに見舞われる夕子を追う。2015年にはWOWOWでドラマ化された。

本格的な復活作となったのが、2010年の『勝手にふるえてろ』だ。主人公は、恋愛経験のない26歳の会社員。少し不器用な現実の求愛者と、中学時代から頭の中で理想化してきた同級生との間で揺れ動く。読者のすぐそばに語りかけるような文体は、ユーモアと容赦なさを備え、綿矢は「かつての天才」として有名なだけの存在ではなく、再びベストセラー作家となった。2011年刊行の『かわいそうだね?』は、2012年に第6回大江健三郎賞を受賞した。ノーベル賞受賞者の大江健三郎が単独で選考する賞で、その年に彼が選んだのが綿矢だった。

こうした作品をきっかけに、映画監督たちも彼女の小説に注目した。大九明子監督による『勝手にふるえてろ』の映画化作品Tremble All You Wantは、2017年の東京国際映画祭で観客賞を受賞し、松岡茉優にとって初の映画主演作となった。大九は『私をくいとめて』(2017年)も映画化。のんが演じるのは、30代で独身生活を謳歌し、あらゆる決断を頭の中の相談相手「A」に委ねる女性、みつ子だ。2020年の東京国際映画祭で観客賞を受賞したこの作品は、その年唯一の受賞作となった。高校生の執着を描いた2012年刊行の小説『Hiraite』も、2021年に首藤凜監督によって映画化された。

近年の作品は、より長く、より風変わりなものになっている。2人の女性の恋愛を描いた2巻構成の『Ki no mi ki no mama de』(2019年)は、第26回島清恋愛文学賞を受賞。2022年12月から半年ほど北京で暮らした後、2023年に『Pakkipaki Pekin』を刊行した。2025年8月には文藝春秋から、連載4年分を改稿した最長の小説『Hageshiku kirameku mijikai inochi』が刊行された。京都の中学校の入学式で13歳のときに出会い、離れ離れになった2人の少女が、32歳で東京で再会する物語だ。2026年1月には小学館から『Greta Ninpu』が刊行された。不妊治療を諦めていた静かな夫婦の暮らしが、妻の妊娠を機に一変するコメディーだ。

翻訳作品はまだ限られている。綿矢の作品はドイツ語、イタリア語、フランス語、タイ語、韓国語に翻訳され、2015年には『蹴りたい背中』の英語版も刊行されたが、未翻訳の作品が大半を占める。映画のほうが、より広く海外に届いている。

だからこそ、YOASOBIの楽曲は綿矢の作品に触れる入り口としてうってつけだ。彼女の代表作に登場するのは、自分の頭の中で過ごす時間が長い人々である。少年の背中を蹴りたい少女、中学時代の同級生に今も思いを寄せる会社員、そして「A」と呼ぶ声に相談する女性。「咲きほこれ」は、彼女の物語のひとつを、オーケストラと合唱による3分間の楽曲に仕立てた。小説には、そうした内なる声が語るための余白がある。

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