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松岡茉優、名脇役の時代を越えて 主演作『男ともだち』で東京国際映画祭コンペへ

Penelope H. Fritz
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松岡茉優
松岡茉優
Photo: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
生年1995年2月16日
Tokyo, Japan
職業俳優
代表作A Silent Voice: The Movie, Shoplifters, 愛のむきだし
受賞Blue Ribbon Award for Best Supporting Actress · 2 Nikkan Sports Film Award for Best Actress · Yokohama Film Festival Award for Best Supporting Actress · Elan d'Or Award for Newcomer of the Year · Tokyo International Film Festival

キャリアの大半において、松岡茉優は、別の誰かの顔を前面に押し出した映画の中で観客の記憶に残る存在だった。是枝裕和監督の万引き家族では、寄せ集めの家族の中で唯一、何も盗まない亜紀を演じた。マジックミラー越しの店で夜勤をし、声を出せない客と静かに心を通わせる人物だ。ちはやふるシリーズでは、主人公ではなくライバル役を務めた。いまやNetflixシリーズ、舞台ミュージカル、映画祭のコンペティション出品作が、いずれも彼女を中心に据えている。キャリアを通じて問われ続けてきたことも、変わりつつある。監督たちは長年、彼女に場面を引き締める力を託してきた。では、映画全体を背負うことはできるのだろうか。

芸能界への入り口は、偶然に近いものだった。芸能事務所が3歳の妹、日菜をスカウトした際、家族も面接に同行した。すると事務所から、8歳年上の姉もやってみないかと声をかけられた。「妹のおまけで事務所に入ったんです」と、後に彼女は冗談交じりに振り返っている。その後、何年ものあいだ不合格が続いた。本人の数えでは、子どもの頃に約200回、高校を卒業するまでにさらに300〜400回ほどオーディションに落ちたという。ある審査員からは、才能があるのはわかる、でも実際に自分の心を動かしてほしい、と繰り返し言われたこともあった。

1995年2月16日に生まれた東京育ちの彼女は、10代前半に朝のテレビ番組を通じて知られるようになった。2008年から2010年まで、テレビ東京の子ども向け番組Oha Sutaに「Oha Girl」として出演。小学生の頃から見ていて、ずっと出たいと願っていた番組だった。その後のバラエティー番組での仕事は、間の取り方を身につける機会となった。映画への出演も並行して続き、その一つが、吉田大八監督の群像劇桐島、部活やめるってよで演じた女子高生役だった。

全国的な知名度を得たのは、NHKの2013年の朝ドラあまちゃんだった。架空のアイドルグループのリーダー、入間しおりを演じ、役柄としてNHKの大みそかの歌番組のステージにも立った。より大きな転機は、バラエティー番組のスタジオから訪れた。脚本家の坂元裕二は、松岡がフジテレビのうつけもんで司会を務める姿を見て、問題のあるレストランの雨木千佳役をオファーした。松岡はいまも、千佳は頭の中で会話をする相手のようなキャラクターだと語る。また、番組を見て学校に通うのをやめていた人たちから、もう一度通いたくなったという手紙が届き、仕事に対する考え方が変わったとも話している。

映画で転機をもたらしたのは、ライバルやよそ者を演じた経験だった。ちはやふる三部作では、近寄りがたいかるたクイーン、若宮詩暢を演じ、広瀬すず演じる主人公と対峙。TAMA Film Awardの最優秀新進女優賞を受賞した。続いて大九明子監督は、綿矢りさの小説を映画化した勝手にふるえてろで、初めて松岡を映画の主演に起用した。恋愛経験のない26歳の会社員が、現実に現れた求婚者と、中学時代から執着している同級生のあいだで揺れる物語だ。作品は2017年の東京国際映画祭コンペティション部門で観客賞を受賞し、松岡も同映画祭の東京ジェムストーン賞に輝いた。

その数か月後、彼女はカンヌで是枝監督や共演者たちと並び、万引き家族のパルムドール受賞を見届けた。きちんとした家庭の娘でありながら、偽りの家族の中に身を隠す亜紀は、作品に最も内密な響きをもたらし、松岡にブルーリボン賞助演女優賞をもたらした。その後は、恩田陸の小説を映画化した石川慶監督の蜜蜂と遠雷で、かつてピアノの天才少女だった女性がコンクールに戻ってくる姿を主演として演じ、日刊スポーツ映画大賞の主演女優賞を受賞。さらに吉田監督の出版業界風刺劇騙し絵の牙では、大泉洋と共演した。

受賞歴には、日本の映画界が彼女をどう評価しているかを物語る空白もある。批評家が選ぶ賞では何度も評価されている一方、日本アカデミー賞では4度候補に挙がり、勝手にふるえてろと万引き家族で同じ年に2部門の候補となったこともあるが、最優秀賞には届いていない。スクリーンの外で築いてきたキャラクターは、両刃の剣でもある。バラエティー番組の司会者であり、モーニング娘。好きを公言し、メンバーの卒業記念写真集をプロデュースする人物でもある。俳優の伊藤沙莉とは、ポッドキャストで冗談を言い合う仲だ。そうしたイメージは、坂元裕二脚本の初恋の悪魔や警察署を舞台にしたコメディーGEEKSなどでたびたび演じてきた、無表情で活力の薄い風変わりな人物像と結びつき、彼女を個性派俳優として分類しやすくする。ストレイヤーズ・クロニクルで彼女を演出した瀬々敬久は、より重みのあるたとえを持ち出した。若い出演者たちの中で、すでに完全な主導権を握っている俳優――小津映画における杉村春子のようだ、と。

これまでで最もむき出しの主演作となったのは、2023年の石井裕也監督作愛にイナズマだ。松岡が演じた織村花子は、自分の失踪した母についてのデビュー作を、嫌がらせを続けてきた助監督に奪われた若手監督。そこで今度はカメラを自分の家族に向ける。松岡はこの作品で、日刊スポーツ映画大賞の主演女優賞を2度目の受賞を果たした。2024年6月には、アイドルグループHey! Say! JUMPの有岡大貴との結婚を発表し、これ以上の詳細は公表しないと伝えた。2025年春には、子どもの頃から所属してきたヒラタオフィスグループを離れ、エージェント契約を結んだDon-crewを通じて独立して活動を始めた。

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その後、キャリアで最も多忙な時期が訪れた。2026年の夏を通じて、舞台版ディア・エヴァン・ハンセンでゾーイ・マーフィーを演じ、木下晴香と交互に出演。東京から名古屋、大阪へと巡演した。9月17日にはNetflixでダウンタイムが配信開始となった。松岡が演じるのは、病院を追われ、美容外科の世界へ移ることになった優秀な形成外科医、沼田文。そこで中谷美紀演じるスター医師とぶつかり合う。松岡は文を、「みんなを救うヒーロー」ではなく、「偏見に満ち、口が悪く、身勝手な」人物だと説明した。まさに彼女が10年をかけて磨いてきた表現の領域だ。

次に控えるのは、三島有紀子監督が千早茜の小説を映画化した男ともだちだ。10月26日から11月4日まで開催される東京国際映画祭のコンペティション部門でワールドプレミア上映された後、11月6日に日本公開される。松岡は京都に暮らす29歳のイラストレーターを演じる。何を描きたいのか見失った彼女は、大学時代の友人と3夜を過ごす。その友人を演じるのは成田凌だ。俳優と監督が初めて出会ったのは約15年前。高校生でインタビュー番組の司会をしていた松岡が、恋に落ちることと人を愛することはどう違うのか、と三島に尋ねたのがきっかけだった。三島は、広島の場面での松岡の演技だけでも、見る価値があると語っている。かつて初主演作に観客賞を贈った映画祭が、今度は最初の一コマから彼女を軸に据えた作品を審査する。

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