リリースと予告編

『Candy Cane Lane』レビュー:飾りつけだけでは救えない、にぎやかでまとまりに欠けるクリスマス映画

Martin Cid
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けばけばしいクリスマスライトに照らされたエディ・マーフィ(Eddie Murphy)の顔を映す冒頭のショットが、Candy Cane Lane(2023)の作風を端的に示している。華やかなクリスマス映画と、騒々しいドタバタ劇の両方を目指しながら、どうにも足場を固められない作品だ。ケリー・ヤンガーの脚本をレジナルド・ハドリン(Reginald Hudlin)が監督した本作は、企業のマーケティング担当者クリス・カーヴァー(マーフィ)が、近所で毎年開かれるクリスマス飾りつけコンテストに勝つため、エルフとファウスト的な取引を交わすホリデー・コメディ・ファンタジー。魔法の呪文によって「クリスマスの12日間」が現実となり、郊外の通りはさながらサーカスのような騒ぎに包まれる。

Candy Cane Laneの核心にあるのは、野心とその代償を、クリスマスらしい明るさで包んだ物語だ。クリス・カーヴァー(マーフィ)は、何が何でも勝ちたいという思いに駆られている。期待に応えなければという重圧を感じたことのある人なら、共感できるテーマだろう。マーフィの演技は本作の見どころのひとつ。持ち味の絶妙なコメディの間合いに、心からの弱さを見せる瞬間を織り交ぜている。勝つことに必死なクリスの姿と、コンテストに勝つことより大切なものがあると気づくまでを、見事に演じている。

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クリスの妻キャロルを演じるトレイシー・エリス・ロス(Tracee Ellis Ross)は、マーフィの騒動に落ち着いた対照をもたらす。ふたりの関係は本作の大きな魅力のひとつで、ユーモアと温かさのバランスが取れた、説得力のある夫婦像に根ざしている。風変わりな隣人ペッパー役のジリアン・ベル(Jillian Bell)や、娘ジョイ役のジェネイヤ・ウォルトン(Genneya Walton)をはじめ、脇を固めるキャストも物語に奥行きと彩りを加えている。なかでもベルは、予測不能な勢いと鋭いコメディの間合いで、いくつもの場面をさらっていく。

本作のプロダクションデザインは、まぎれもなく見事だ。度を越したクリスマスの飾りつけが、目を奪い、心を弾ませる。セットは細部まで丁寧に作り込まれ、キャンディケインが木のように生い茂り、トナカイが郊外の通りを駆け回る世界へと観客を引き込む。こうした映像面の魅力は本作の最大の強みであり、季節の空気をとらえた夢のような雰囲気を生み出している。趣向を凝らした家々から、通りを彩る華やかな装飾まで、セットの細部へのこだわりは明らかで、クリスマスの魔法を感じさせてくれる。

一方で、Candy Cane Laneは物語の運びに難がある。筋書きには要素が詰め込まれすぎており、複数のサブプロットやファンタジー要素を、十分にまとめきれていない。テンポも安定せず、気の利いたユーモアや愛らしさが光る場面の合間に、だらだらと続いたり、物語上の意味が薄く感じられたりするシーンが挟まる。エルフの呪文は映像としては派手だが、物語を前に進めるうえで頼りすぎており、内容よりも見せ場に依存している。

作品のトーンも予測がつかず、ドタバタ喜劇から感傷的な家族ドラマへと、滑らかにつながらないまま切り替わる。マーフィとロスはこうした変化を巧みに受け止めているが、脇役のなかには掘り下げが足りず、その人物の物語が作品に不可欠というより、後付けのように感じられる者もいる。たとえば、地元の便利屋ピップを演じるニック・オファーマン(Nick Offerman)には可能性があるものの、登場するのは断片的な場面に限られ、物語における役割は十分に描かれていない。

本作を貫くテーマのひとつは、地域のつながりと、ホリデーシーズンに人々が一緒に過ごすことの大切さだ。クリスの契約が引き起こした混乱に対処するため、Candy Cane Laneの近隣住民たちが力を合わせる姿を通して、このテーマが描かれる。地域のつながりの価値を伝えるメッセージは明快だが、物語のファンタジー要素にかき消されてしまうこともある。

ほかのホリデー映画と比べると、Candy Cane Laneはコメディとファンタジーを独自の形で組み合わせている点が目を引く。ただし、ElfやThe Santa Clauseのような名作が持つ感情の深みや物語のまとまりには及ばない。笑いと華やかな映像はたっぷり楽しめるものの、心に残るクリスマス映画にはなりきれていない。

本作が主に想定しているのは、家族連れやホリデーコメディ好きの観客だろう。クリスマス気分に浸りながら気軽に楽しめる作品を探している人なら、観る価値を感じるだけの魅力はあるかもしれない。一方、物語に深みがあり、心に響くホリデー映画を求める人には、物足りなく映る可能性がある。

結局のところ、Candy Cane Laneは一長一短。甘さと雑然さをあわせ持つ、クリスマスの砂糖菓子のような作品だ。笑いと目を楽しませる映像は届けてくれるが、物語の構成やトーンの一貫性には難が残る。ホリデー映画で気軽に息抜きしたい人なら、観る価値を感じるだけの魅力はあるだろう。

キャスト

写真:The Movie Database (TMDB)

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