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「Sitting in Bars with Cake」――ケーキの仕掛けは空回り、それでも友情が作品を救う

Veronica Loop
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Sitting in Bars with Cakeの冒頭は、飾り気のない喜びを切り取ったような場面だ。内気な菓子職人ジェーンを演じるヤラ・シャヒディ(Yara Shahidi)が、手作りのケーキを緊張した面持ちでバーのカウンターに置く。手を震わせながら、客のほうへ滑っていくケーキを見つめるのだ。心温まるはずの瞬間なのに、どこか無理に演出されたように感じられる。

オードリー・シュルマン(Audrey Shulman)の2016年の著書をもとに、実話に着想を得たトリッシュ・シー(Trish Sie)監督作。内気なジェーンと、社交的な親友コリン(オデッサ・アジオン〈Odessa A’zion〉)が、ジェーンの自信を育てるため、1年間バーにケーキを持ち込むという試みに挑む。アイデア自体は魅力的だが、映画としての実践はどうにもぎこちない。作品を組み立てる軸となるはずのケーキという仕掛けは、物語を動かす力というより、しばしば後付けのように見えてしまう。ジェーンがケーキを焼いたり、出来上がったケーキを披露したりする場面にも、本来あるべき感情の重みが欠けており、心に残る瞬間というより、決まりきった確認作業のように映る。

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この映画を救っているのは、俳優たちの演技だ。シャヒディとアジオンには、物語に息を吹き込む鮮烈な化学反応がある。ふたりの友情こそ作品の中心であり、コリンが脳腫瘍と診断されると、ふたりの関係は軽やかなものから、深い哀しみを帯びたものへと変化していく。なかでもアジオンは、病と向き合うコリンを見事に演じ、弱さとたくましさを繊細なバランスで表現している。タレントエージェントのベニータを演じるベット・ミドラーも、出番は少ないながら、温かみとユーモアを添えて映画を引き立てる。

一方で、恋愛、コメディ、ドラマを両立させようとすると、物語の構成は揺らぎ始める。ジェーンが弁護士のオーウェン(リッシュ・シャー〈Rish Shah〉)に思いを寄せる恋愛の筋書きは、描き込みが足りず、後から付け加えられたようで、心に響くために必要な深みがない。テンポにも難があり、とりわけ後半では、バーにケーキを持ち込む試みが繰り返しに感じられる一方、がんをめぐる物語が十分な積み重ねもないまま前面に出てくる。

プロダクションデザインと撮影は堅実だが、際立った魅力には欠ける。ロサンゼルスの街並みは、流行のバーや居心地のよい住宅街を織り交ぜながら効果的に使われ、物語に地に足のついた感触を与えている。しかし映像に独自の華やかさはなく、中予算のロマンティックコメディやドラマの中に埋もれてしまう。

Sitting in Bars with Cakeには、心からの感情やユーモアが光る瞬間もある。だが結局のところ、奇をてらった設定とむらのある語り口に足を引っ張られている。

恋愛、コメディ、ドラマという複数のジャンルを融合させようとする試みは、作品の感情的な核を損なうほどのトーンの揺れを招いている。ケーキをバーに持ち込む軽やかな冒険から、がんや死をめぐる重いテーマへと移る展開は唐突で、映画はどちらのトーンにも最後まで腰を据えられない。この一貫性のなさによって、物語は明確な焦点を持たないままあちこちへ引っ張られ、登場人物たちの歩みに気持ちを預けにくくなっている。

友情と女性同士の連帯を描いている点は、この映画の長所のひとつだ。ジェーンとコリンの絆は、支え合いながらも難題を抱える複雑な関係として、確かな手触りをもって描かれている。ただし、コリンの診断をめぐる展開は性急で、人生における感情の節目を、わずかな重要場面に詰め込もうとしているかのようだ。その急ぎ足の描き方によって、物語に必要な深みや細やかさが失われ、感情的な結末も十分に積み上げられたものとは感じにくい。

脇を固めるキャストも物語に厚みを加えており、フレッド役のロン・リヴィングストン(Ron Livingston)とリズ役のマイア・ミッチェル(Maia Mitchell)の演技が光る。ジェーンやコリンとのやりとりには、軽やかさや温かさが生まれるものの、こうした人物たちは中心となるふたりの騒動を優先するあまり、脇に追いやられがちだ。内気な女の子が自分の声を見つける、社交的な人物が人生を変える危機に直面する、といったおなじみの定型に頼っていることも、作品の独創性を損ねている。

演出面では、トリッシュ・シーは人間関係の機微を捉える鋭い感覚を見せる一方、作品全体のトーンを一貫させることには苦戦している。第2幕ではテンポの問題が目立ち、バーにケーキを持ち込む試みは繰り返しに感じられ、緊張感も感情的な stakes も積み上がらない。軽やかなコメディから重いドラマへの移行は慎重に扱われているものの、急な切り替わりに観客はついていくのに苦労する。

Sitting in Bars with Cakeは、盛り込みすぎた結果、最終的には本来の可能性を生かしきれなかった映画だ。演技は力強く、心からの感情が伝わる場面もあるが、奇をてらった設定とむらのある語り口が、作品の目指す深みや余韻を妨げている。おなじみの定型に頼り、ひとつのトーンに徹しきれなかったことで、ロマンティックコメディとドラマを掛け合わせたジャンルの中でも、記憶に残りにくい一本となっている。

友情、自分探し、困難に立ち向かう力といったテーマを描こうとする姿勢は評価できるが、複雑な問題を十分に掘り下げるための深みや繊細さが足りない。バーにケーキを持ち込むという設定は、当初こそ魅力的だが、物語の感情的な核から切り離され、無理に感じられる場面も多いため、助けになるどころか足かせになっている。

Sitting in Bars with Cakeは結局のところ、内容の厚みよりも心に響くことを重視するロマンティックコメディやドラマのファンに向けた作品だ。

キャスト

写真:The Movie Database (TMDB)

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