映画

『エレナの知っていること』――真実を求める母の震える探求

Alice Lange
Googleで追加する

Elena Knowsの冒頭を飾るのは、写真アルバムをめくるメルセデス・モランの、パーキンソン病に震える年季の入った手だ。この映像が、アナヒ・ベルネリ監督のドラマの基調を定めている。身振りと沈黙を通して語られる物語では、エレナの身体のわずかな震えひとつが、多くを語る。カメラは彼女の身体が衰えていく様子を映し出すだけではない。病が彼女の動きをどれほど制限するのか、そしてその一方で、いかに彼女の決意をかき立てるのかを、観る者にも実感させる。

クラウディア・ピニェイロの小説を原作とするElena Knowsは、メルセデス・モラン演じる主人公エレナを描く。エレナの娘リタは、不可解な状況のもとで命を落としていた。病が進行するなか、エレナはリタの死の真相を突き止めようと執念を燃やし、司祭から同級生まで、あらゆる人に問いただしていく。過去と現在を行き来しながら、エレナがリタの人生の断片をつなぎ合わせていくという、型破りな構成も本作の特徴だ。この語り口は、単なる奇をてらった仕掛けではない。記憶と疑念がぶつかり合うエレナ自身の壊れた心の状態を映し出し、生々しく飾り気のない感覚を生んでいる。

YouTube video

ベルネリ監督の演出は、エレナの捜査を包み込む息苦しい緊迫感を捉える点で際立っている。モランは圧倒的な演技を披露し、限られた動きだけで感情を伝える身体表現は見事というほかない。とりわけ胸をえぐる場面のひとつで、エレナはリタの恋人パブロ(マルコス・フェランテ)を職場に訪ね、対峙する。非難の言葉を口にするエレナの身体はこわばり、声は落ち着いているのに手は震えている。モランのその表現からは、抑え込まれた怒りが浮かび上がる。観る者の意識を一瞬も離さない演技であり、モランは最後までその緊張を緩めない。

撮影もまた印象的だ。カメラはしばしばエレナの顔をじっと捉え、モランの表情豊かな目や、表情に宿るかすかな変化を際立たせる。忘れがたいショットのひとつでは、薄暗い部屋にひとり座ったエレナが、リタの写真を見つめている。顔の半分は影に沈んでいる。照明は雰囲気を作り出すだけでなく、エレナの悲しみが抱える二面性――人前での決然とした態度と、ひとりで抱える絶望――を浮き彫りにしている。

とはいえ、本作に欠点がないわけではない。特に中盤では、エレナの捜査に繰り返しの印象が強まり、テンポが崩れることがある。リタを演じるエリカ・リバスや、同じ人物の若い頃を演じるミランダ・デ・ラ・セルナなど、一部の脇役には掘り下げが足りず、血の通った人物というより、物語の符号のように映る。また、非線形の語りは当初こそ引き込まれるものの、ときに物語をわかりにくくし、重要な筋書きの要点を追いづらくしてしまう。

Elena Knowsが真価を発揮するのは、母の愛と悲嘆を掘り下げる部分だ。正義を求めるエレナの執拗な追及は、謎を解くことだけが目的ではない。娘が生きた証を取り戻そうとする行為でもある。モランの演技が感情の核をしっかりと支え、静かな場面でさえ、エレナの痛みを肌に迫るものにしている。なかでも心に残るのは、エレナがリタの墓を訪れ、娘に謝罪の言葉をささやくうちに声を詰まらせる場面だ。むき出しの弱さが作品の緊張を突き破り、鋼のような外面の奥には、すべてを失った母親がいるのだと思い起こさせる。

信仰や道徳も、本作が掘り下げるテーマだ。特にフアン神父(マルコス・モンテス)の描写を通じて、その問いは色濃く浮かび上がる。司祭のはぐらかす態度と道徳的な曖昧さが物語にさらなる層を加え、共犯と贖罪をめぐる疑問を投げかける。ただし、このサブプロットはやや掘り下げ不足に感じられる箇所もあり、複雑なテーマをもっと追究してほしいと思わせる。

ジャンルという観点から見ると、Elena Knowsは簡単には分類できない。サスペンス、ドラマ、人物描写の要素を織り交ぜ、一般的なスリラーや家族ドラマとは一線を画す独自の混合作品に仕上げている。この独創性は、本作の強みであると同時に弱みでもある。作品を際立たせる一方で、より直線的な物語を期待する観客を遠ざける可能性もある。

Elena Knowsは、腰を据えて向き合うことを観る者に求める作品だ。気軽に楽しめる映画ではないし、そうあることを目指してもいない。しかし、型破りな語り口とモランの並外れた演技にじっくり向き合う人には、深い満足をもたらしてくれる。ベルネリ監督の演出は繊細で、空気感に満ちている。そこに描かれる世界は、実際に人々が暮らしているような手触りと確かなリアリティを備えている。

総じてElena Knowsは、主演俳優の力強い演技とベルネリ監督の空気感豊かな演出によって輝きを増す、心をつかむドラマだ。喪失と愛、そして子どもを守るためなら、たとえ死後であっても母親がどこまでできるのかを描いている。

キャスト

写真:The Movie Database (TMDB)

タグ: , , , , ,

Googleで追加する

ディスカッション

0件のコメントがあります。