音楽

Conton Candy『すっぴん』、メジャー1st全14曲で描く等身大

メジャー初フルの構成と「素顔」というタイトルが指す制作姿勢
Alice Lange

Conton Candyのメジャー1stフルアルバムは、『すっぴん』と名付けられた。アニメ作品のタイアップ曲を複数抱える3ピースバンドが、メジャー初の全長作で前面に出したのは、飾らない自画像である。タイトルそのものが、過剰な演出を避けたいという制作姿勢の宣言になっている。

全14曲を収めた本作のタイトル『すっぴん』は、装飾を削ぎ落とした素のバンド像を指している。グランジとガレージの感触を下敷きにしながらメジャー流通の現場に身を置くことの意味を、メンバー自身が問い直した結果と読み取れる。等身大であろうとする選択は、ともすれば消費されやすい「初フル」というフォーマットへの応答でもある。

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収録曲は、メジャーデビュー以降にシングルやEPで発表してきた6曲と、本作のために書き下ろされた8曲で構成される。先行配信された「OTAGAISAMA」はその新曲群の入り口となり、バンドの現在地を示す試金石として位置づけられている。

タイアップが押し上げたメジャー1stの輪郭

収録楽曲のうち4曲は、テレビアニメと結びつく。『メダリスト』第2期のエンディングテーマ「Rookies」、『SAKAMOTO DAYS』のエンディングテーマ「普通」、『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』のオープニングテーマ「スノウドロップ」、『終末ツーリング』のオープニングテーマ「Touring」が並ぶ。インディーズ期から積み上げてきた手触りを、商業作品の入り口として受け止め直す配置である。

3人編成が持ち味とする粗い質感は、メジャーの資源と組み合わせても薄まっていない。タイアップ曲と新曲を地続きに並べたことで、バンドが歩んできた音の振れ幅が一枚に収められている。リスナーの期待値が広がる局面でも、Conton Candyは音像の核を譲らない方針を選んだとみられる。

「すっぴん」が指す制作の姿勢

本作は2形態でリリースされる。初回限定盤にはアルバムのタイトルに呼応する形でヘアゴムとフェイスタオルが封入され、価格は6,900円。通常盤は3,300円で、収録曲は同一である。形態の設計そのものが「素顔」という主題を物理的に補強する作りとなっている。

『すっぴん』は2026年5月20日にリリースされた。タイアップを通じて広い層に名前が届きはじめたタイミングで、メジャー1stにあえて飾らない名を冠した判断は、バンドの自己定義を再設定する一手とも読める。等身大という言葉は使い古されているが、本作の場合は構成も装丁も収録順も、その語を裏付ける具体に立っている。

日本のロックシーンでは、インディー出自のバンドがメジャー流通に乗り換える局面で、音像をどこまで保てるかが繰り返し問われてきた。Conton Candyが『すっぴん』で示した答えは、装飾を増やすのではなく削ぐ、というものだった。14曲がそれぞれの場所からその姿勢を支えている点で、本作はバンドの現在地を示す資料として残るはずである。

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