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中野有紗、『PERFECT DAYS』のニコからフィリピンの主演女優賞へ 日本映画は彼女を主役に据えるか

Penelope H. Fritz
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中野有紗
中野有紗
Photo via The Movie Database (TMDB)
生年2005
日本 東京
職業俳優
代表作Perfect Days
受賞ガワッド・ウリアン賞 主演女優賞 · 高崎映画祭 最優秀新進男優賞

役は小さかった。母親の家を飛び出した10代の少女が、叔父の手狭なアパートで二晩を過ごし、東京の公衆トイレを巡る彼の仕事に同行する。そして、叔父がどんな人なのかを知る前に、運転手付きの車が迎えに来る。ヴィム・ヴェンダースは、役所広司の沈黙を軸にPERFECT DAYSを組み立て、その沈黙を破る役目を担ったのが、姪のニコだった。演技経験のなかった中野有紗は、ほとんど苦労を感じさせない自然さでその役を演じ、観客は映画館を出るとき、彼女が誰なのかを知りたくなった。

これまでで最も詳しい答えは、意外な場所から届いた。中野が初めて主演女優賞を手にしたのはマニラ。日本の批評家たちが投票を終えてから、ようやく日本の劇場で公開されたフィリピン映画での受賞だった。国内では今も、役所の隣を自転車で走る少女として知られることが多い。今後控える作品を見れば、そのイメージは変わりそうだ。ただし、受賞が示唆したのとは少し違うかたちで。

2005年に東京で生まれた中野は、学生時代からファッションモデルとして活動し、雑誌『GINZA』の誌面を飾った後、広告の仕事にも進出した。この経験は、見た目以上に重要だ。モデルは言葉を発さずに画面の中で存在感を保つことを学ぶ。ニコもまた、見つめることで多くを語る人物だ。ヴェンダースの映画は渋谷の「THE TOKYO TOILET」プロジェクトをきっかけに生まれ、キャスティングでは、カンヌで主演男優賞を手にすることになる俳優の相手役に、映像作品への出演歴がない女子高生が選ばれた。所属事務所はétrenne。撮影現場を離れると刺繍やアクセサリー作りを楽しみ、いつか文章や絵を描く仕事にも挑戦したいと語っている。

PERFECT DAYSはその後、日本代表としてアカデミー賞に出品され、国際長編映画賞にノミネートされた。中野にとって、この作品の余波は控えめながら、確かなかたちで届いた。大阪シネマフェスティバルでは新人賞を受賞し、映画に登場する楽曲「Aoi Sakana」をカバーして、Mágicoプロジェクトの第1弾として発表した。次に出演した映像作品では、主演を務めることになる。配信サービスの若手クリエイター・コンペティションで優勝した大学生、瀬名亮(Ryo Sena)が監督したHulu Japanオリジナル作品まだゆめをみていたいでは、漫画家を目指す学生、前田夢子を演じた。

転機となる役はフィリピンからやってきた。陸前高田と長く関わってきたフィリピン人映画監督のハイメ・パセナ2世(Jaime Pacena II)は、2011年3月の津波から今も復興が続く海沿いの街を舞台に、国際的にはThis Placeの題名で公開されたこの場所を製作した。ギャビー・パディラ(Gabby Padilla)が演じるエラは、出稼ぎのために家族を残して去った父親の葬儀に参列するため日本を訪れ、そこで父のもうひとつの家族と出会う。中野が演じるのは、絵を描く女性で、会ったことのない異母姉妹のレイナだ。同じ男性を悼む二人の女性を、それぞれ異なる人生の側から描くこの映画では、街の復興の歩みが二人の歩みと重なっていく。

本作は2024年、マニラのCinemalaya映画祭で初上映された。フィリピン映画批評家協会が主催する第48回Gawad Urianでは、パディラらを候補に含む中野が、2025年10月に主演女優賞を受賞。Daily Tribuneのコラムニストは、中野がジェナイカ・サンガー(Jenaica Sangher)をわずか1票差で上回り、外国人として初めて同賞を受賞したと伝えた。日本の観客がこの場所を見られたのは、2026年2月の劇場公開を待ってからだった。

中野の出演作には、名を挙げておきたい傾向がある。それは、彼女を取り巻く業界にとって、必ずしも喜ばしいものとは限らない。姪、異母姉妹、クラスメート、あるいは別の女優が演じる人物の若い頃。中野は、主役との関係性によって定義される人物を演じる機会が続いている。ニコについて批評家たちが称賛した、静かなのに目を離せない存在感は、より大きなスターの隣に配する俳優を探す監督たちがまさに求めるものでもある。だが、Gawad Urianの審査員が見いだしたのは別の資質だった。映画の感情的な重みを担える俳優としての力だ。それを、日本の観客の多くがまだ知らない共同製作映画の中に見つけた。日本での評価は、これまで脇役としての仕事に対するものが中心だ。

その評価は確かなものでもある。辻村深月の小説を山本環監督が東映で映画化したこの夏の星を見るは、パンデミックで部活動が中止になった2020年、高校生たちがオンラインで星空観察のコンテストを開く物語だ。桜田ひよりが主演する本作で、中野は五島列島の高校生、佐々野円を演じた。大半が夜間に撮影されたこの作品での演技により、2026年3月、第39回高崎映画祭で最優秀新人俳優賞を受賞した。テレビでは、関西テレビのドラマ僕達はまだその星の校則を知らないに北原役で出演。磯村勇斗演じる弁護士が、統合されたばかりの高校に赴任する物語だ。

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現在準備が進む2本の映画では、映画祭で確かな評価を得ている監督たちと組む。小説家の原田マハが、自身の短編小説をもとに初めて監督を務めた無用の人では、蒼井優が、亡き父(緒形一成)が晩年に過ごした日々をたどる博物館職員の里美を演じ、中野は少女時代の里美を演じる。本作は9月のサン・セバスティアン国際映画祭でコンペティション部門に出品され、FIPRESCI批評家賞を受賞した。日本では2027年1月29日に公開される。

続いて2027年後半には、石川寛監督のあをの情が公開される。Bitters Endが製作を手がける本作は、同監督にとって『Petal Dance』以来13年ぶりの長編映画だ。奈緒と唐田えりかが主要キャストを務める。中野が演じるのは、青木柚が演じる美術学生のクラスメート、希。間近で彼の変化を見守る役どころだ。場面を捉える中野のまなざしにこそ生きる、もうひとつの「見つめる人」の役である。これから数年のうちに答えが出るのは、日本の監督が、すでにフィリピン人監督が託したように、映画の中心を彼女に任せるかどうかだ。

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