映画

ワン・デイ 23年のラブストーリー:時を超えて描く、愛と喪失の胸を打つ肖像

Martin Cid
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ワン・デイ 23年のラブストーリーのラストショット、海を見つめるアン・ハサウェイ(Anne Hathaway)の顔をとらえた長回しのクローズアップは、エンドロールが終わったあとも心に残り続ける、忘れがたい映像のひとつだ。静かながら胸をえぐるこの瞬間は、ローン・シェルフィグがデヴィッド・ニコルズの小説を映画化した本作を見事に凝縮している。物語は、デクスター・メイヒュー(ジム・スタージェス)とエマ・モーリー(ハサウェイ)が人生と恋愛、そしてその間にあるあらゆることに向き合う姿を追う。20年にわたって毎年同じ日にふたりの近況を描く構成こそ、本作最大の強みだ。年に一度の節目を重ねるたび、ふたりの関係に新たな層が加わっていく。

17歳の肖像で知られるシェルフィグは、絶妙な間合いと豊かな情感をもって物語を描き出す。ユーモアと胸の痛みを巧みに行き来し、親密さと広がりを兼ね備えた物語に仕上げている。テンポは慎重に保たれ、それぞれの年が自然に息づき、変化していく。うまくいかなかった恋愛のあと、タクシーの中でエマが感情を抑えきれなくなる場面や、長いすれ違いを経てデクスターが必死に彼女との関係を取り戻そうとする場面には、その手腕が表れている。こうした瞬間こそ作品の核であり、メロドラマに頼ることなく、ひとつの場面から感情を余すところなく引き出すシェルフィグの力を際立たせている。

2011年公開の本作を揺るぎなく支えるのは、間違いなくハサウェイだ。抑制のきいた演技はまさにお手本で、視線や身ぶりのひとつひとつに幾重もの意味が込められている。エマにむき出しの脆さを与え、近年の映画でもとりわけ共感を誘い、強く心をつかむ主人公にしている。エマの知性や機知、そして心の奥底にある恐れを表現するハサウェイの力が、作品の感情的な核を形づくる。一方、デクスターを魅力的で人を惹きつける人物として演じるスタージェスは、彼女ほどの深みには届かない。とりわけ後半の年月では、デクスターの人物造形がつまずき、演技も一本調子に感じられることが多い。

脇を固める俳優陣も、物語に温かみと奥行きを添えている。デクスターの母アリソン・メイヒューを演じるパトリシア・クラークソンは、優しさと芯の強さを併せ持つ人物を鮮やかに表現。父スティーヴン・メイヒュー役のケン・ストットも見事で、作品の軽やかな場面とは対照をなす、地に足のついた存在感を放つ。シルヴィ・コープ役で短いながら印象的な登場を果たすロモーラ・ガライは、少し風変わりな魅力を加え、アンサンブルを引き立てている。

とはいえ、ワン・デイ 23年のラブストーリーにも難点はある。テンポが時折不安定になり、とりわけ後半では、駆け足に感じられたり、十分に掘り下げられていなかったりする年がある。ある年から次の年への移り変わりも、滑らかさを欠くことがあり、人物の歩みが唐突に感じられる部分も残る。ノスタルジックで選曲にもこだわったサウンドトラックは、ときにあまりに分かりやすく、盛り上げようとする感情の機微を損なってしまう。たとえば、それぞれの年のヒット曲を使う演出は、効果を高めるというより、頼りすぎに感じられることもある。

後悔や人とのつながり、時の流れといったテーマを掘り下げることが、本作の最大の強みだ。愛や相性をめぐる難しい問いを投げかけ、人間関係の複雑さから目をそらさない。独自の物語構成によって、成長と変化をこれまでにない角度から描き、時を経るなかで、ふたりがまったく異なる方向へ進んでいくさまを見せている。

ワン・デイ 23年のラブストーリーがとりわけ響くのは、人物を軸にしたドラマや、繊細な感情の機微を好む人だろう。これは定番のロマンス映画ではない。人生の浮き沈みと、私たちを形づくる人間関係を描く物語だ。エマとデクスターの関係は心を温めると同時に胸を締めつける。恋愛がいつも「めでたしめでたし」で終わるわけではないことを、現実味をもって描き出している。

ほかの恋愛ドラマと比べると、ワン・デイ 23年のラブストーリーは独特の構成と感情の深さで際立っている。ビフォア・サンセットのような名作の高みにまでは届かないかもしれないが、親しみやすい人物と惹きつけられる物語によって、独自の居場所を築いている。ユーモアと胸の痛みを両立させる力も、このジャンルの中で本作を特別な作品にしている。

つまるところ、ワン・デイ 23年のラブストーリーは、人とのつながりや後悔、そして時の流れをめぐる、深く人間的な物語だ。笑い、涙し、自分自身の人生や人間関係について思いを巡らせることになる一本である。

キャスト

写真:The Movie Database (TMDB)

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