音楽

KISS、エディ・クレイマーによる新ミックス「Mr. Speed」と未発表「Hard Luck Woman」を収録したシングルを発表

Alice Lange
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KISSが2曲入りのデジタル・シングルをリリースした。エディ・クレイマー(Eddie Kramer)が新たにミックスした「Mr. Speed」と、未発表のアウトテイク「Hard Luck Woman」を組み合わせた作品で、「Rock and Roll Over」スーパー・デラックス盤から公開される音源としては第1弾となる。クレイマーはオリジナル・アルバムのプロデューサーを務めており、今回のミックスは、名盤に外部のリミキサーが独自の色を加えたものではない。これらの曲を最初に録音した本人が、自らのテープに立ち返って手がけたものだ。

この点が重要なのは、「Rock and Roll Over」が、ボブ・エズリン(Bob Ezrin)が「Destroyer」で作り上げた高度に磨き上げられたサウンドからKISSが距離を置いた作品だからだ。通常のスタジオではなく、ニューヨーク州ナニュエットにあるスター・シアターで多くの録音が行われた。アメリカでは「Hard Luck Woman」と「Calling Dr. Love」の2曲がトップ20入りを果たしている。新たなミックスと未発表テイクを並べることで、今回のボックスセット全体の構図も浮かび上がる。プロデューサーが現在の耳で聴くアルバムと、完成前のアルバムが隣り合うのだ。

「Mr. Speed」は、オリジナル盤のB面に収録されたポール・スタンレー(Paul Stanley)の楽曲で、新ミックスの長さは3分をわずかに超える。「Hard Luck Woman」は、スタンレーが書き、ドラマーのピーター・クリス(Peter Criss)が歌ったアコースティック色のあるバラードで、アウトテイクは4分弱だ。バンドは今月初め、この曲のオリジナル・プロモーション・ビデオも公開した。ツアーのリハーサル中にマサチューセッツ州レディングのキャンプ・カーティス・ギルド・アーモリーで撮影された映像で、アンドリュー・スガンバティ(Andrew Sgambati)が新たにHDリマスターを施している。

このシングルの背景にあるボックスセットは大規模な内容だ。CD4枚とBlu-ray Audioディスク1枚で全130トラックを収録し、そのうち100曲は未発表音源となる。CD1にはオリジナル・ミックスを収録。オリジナルのステレオ・アナログ・テープからバーニー・グランドマン(Bernie Grundman)がリマスターした音源だ。CD2にはクレイマーによる全編の新ミックスを収める。CD3にはデモ、アウトテイク、別ミックスを22曲集め、ジーン・シモンズ(Gene Simmons)のデモ9曲、ダヴレン・サウンド・スタジオでのセッション、そしてエース・フレーリー(Ace Frehley)がKISSのアルバムで初めてリード・ボーカルを務める予定だった未完成のインストゥルメンタル「Queen For A Day」などが含まれる。CD4には、かつてKISSのセカンド・ライブ・アルバムとして企画されていた、日本初公演の音源を収録。東京の日本武道館で行われた公演を、クレイマーが新たにミックスしている。さらに、ケン・シャープ(Ken Sharp)が執筆した全104ページのハードカバー本には、現存するメンバーへの新たなインタビューが収められている。

ただし、売り文句そのものには留保も必要だ。レーベルはクレイマーの仕事について、アルバムにより現代的なロック・サウンドをもたらすと説明している。しかし、「Rock and Roll Over」の魅力は、飾り気のない、部屋全体を揺らすような荒々しい音にある。現代風に整えたミックスでは、ファンが大切にしてきたまさにその部分が削がれるおそれもある。また、2曲だけでは、残る98曲の未発表音源がどれほど聴き応えのあるものなのかは分からない。初日のLast.fmの数字を見ても、現時点で聴いた人はまだごくわずかだ。ボックスセット全体ではなく新ミックスだけを手に入れたい人向けに、単独のLP版とCD版も用意されているが、アーカイブ音源は高価格帯のセットに収録される。

シングルは10月16日にUMeから発売された。エース・フレーリーが74歳で亡くなってから、ちょうど1年後にあたる日だ。スーパー・デラックス盤は11月6日にリリースされる。オリジナル盤が1976年11月11日に発売されてから50周年を迎える時期に近い。クレイマーのミックスは、オリジナル・ジャケットのゴールド、レッド、ブラックのバリエーションをあしらったLP版とCD版でも発売される。Blu-rayには両バージョンのDolby Atmosミックスと5.1ミックスを収録し、オリジナル・ミックスのサラウンド版はデヴィッド・フランジオーニ(David Frangioni)が手がけた。

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