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早見沙織、誰もが知る“声”と、まだ知られていない歌い手の素顔

Penelope H. Fritz
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早見沙織
早見沙織
Photo: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / CC BY 2.0, via Wikimedia Commons
生年1991年5月29日
Tokyo, Japan
職業声優、歌手
代表作A Silent Voice: The Movie, Demon Slayer -Kimetsu no Yaiba- The Movie: Mugen Train, Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Infinity Castle
受賞Seiyu Awards

早見沙織を知る人の多くは、彼女自身の声を聞いたことがない。知っているのは、男の腕をへし折る前に謝る『SPY×FAMILY』の穏やかな殺し屋、ヨル・フォージャーや、口に出して憎しみを語ることなく微笑む『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶだ。『聲の形』の中心人物である、耳の聞こえない少女・西宮硝子を思い浮かべる人もいるだろう。彼女が口にするわずかな言葉が、映画全体を背負っている。キャリアを通して繰り返し問われてきたのは、誰もが愛するキャラクターのものとして知られる声が、自分自身の言葉を届けたいと思ったとき、何が起きるのかということだ。

これは抽象的な問いではなく、現実に根差したものだ。早見は作詞・作曲を手がけ、自身の名義でスタジオアルバムを3枚発表し、コンサートホールを満員にしてきた。それでも、最も遠くまで届くのは、キャラクターとして演じる声だ。日本の音楽チャート会社Oriconが最近実施した全国調査では、女性声優の人気1位に選ばれた。80年代から孫悟空を演じてきた野沢雅子を上回っての首位だった。声の奥にいる歌手の物語は、今もひっそりとした、小さな物語のままだ。

その道の始まりには、別の人の声があった。早見は1991年5月29日、東京に一人っ子として生まれ、母親と一緒にオードリー・ヘプバーンの映画を、池田昌子が吹き替えた日本語版で見て育った。小学校4年生ごろ、耳にしていたヘプバーンの声は、スクリーンの向こうで別の俳優が演じているのだと気づいた。その声があまりにもぴったりとはまっていたため、それまで気づかなかったのだ。2004年、日本ナレーション演技研究所のジュニアクラスに入所。2006年には声優事務所I’m Enterpriseのオーディションに合格し、2007年、『桃華月憚』の主人公・川壁桃花役でアニメデビューを果たした。役が次々と舞い込むなか、2010年から2014年まで早稲田大学人間科学部で学んだ。

最初の10年で、早見の声にはひとつの型が形づくられた。澄んでいて、ゆったりとした声を聞いたプロデューサーたちは、どこか別の世界からやって来たようなヒロインを彼女に託した。『そらのおとしもの』のエンジェロイド、イカロス。精霊や人魚、巫女、そして「プリキュア」シリーズでキュアフェリーチェに変身する妖精。2010年代に彼女の名を広めた役柄も、その落ち着きをさまざまに変奏したものだった。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の雪ノ下雪乃は、孤独をまとった冷静な知性。『魔法科高校の劣等生』の司波深雪は、威圧感をほのかに帯びた優雅さを備えていた。2016年3月、第10回声優アワードで助演女優賞を受賞し、同年9月には山田尚子監督作『聲の形』で硝子の声を担当。自分が言葉を発していることを耳で確かめられない少女が、言葉を形にしようとする身体的な努力を表現した。

2つ目の10年は、その型を切り開いた。2017年から『賭ケグルイ』で演じた蛇喰夢子は、破滅の予感にうっとりするギャンブラー。澄んだ声は、恍惚に近いものへと傾いていく。2019年からの『鬼滅の刃』では、鬼狩りの胡蝶しのぶを演じた。礼儀正しさそのものが武器となるキャラクターだ。2022年に『SPY×FAMILY』で登場したヨル・フォージャーは、その2つを併せ持つ。世間話はからきし苦手なプロの殺し屋で、嘘の上に成り立つ家族を深く愛している。2025年、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』では、しのぶが長年待ち望まれていた鬼の童磨との戦いを繰り広げた。早見は後日、東京の観客を前に、戦闘中にしのぶが漏らす舌打ちは、あらかじめ考えていたものではなく、キャラクターの感情から生まれたものだと語った。

アニメと並行して、吹き替えの仕事も続いている。早見はエル・ファニングの日本語吹き替えをレギュラーで担当しており、『THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜』では彼女が演じるエカチェリーナの声を務めた。2022年には、ごく一部の演者にしかかなわない円環を閉じた。日本テレビが放送した『ローマの休日』で、早見はアン王女を演じたのだ。池田昌子が演じたヘプバーンの役は、そもそも早見をこの仕事へと導いたものだった。

歌手として表舞台に立ったのは2015年。2011年からパーソナリティーを務めるラジオ番組『早見沙織のふり〜すたいる♪』で発表した。デビューシングル「やさしい希望」は、自身で作詞を手がけた楽曲で、ヒロインの白雪を演じた『赤髪の白雪姫』のオープニングテーマにもなった。Oricon週間ランキングでは11位にランクイン。2016年にはアルバム『Live Love Laugh』をリリースし、最高6位を記録した。2023年には『白と花束』を発表し、ツアーは東京国際フォーラムのホールAで幕を閉じた。2025年1月には川崎でオーケストラコンサートを開催し、同年12月にはデジタルシングル「Last breath, Last record」をリリースした。

ここで、「愛される声優が、好ましい副業として歌手活動もしている」という耳当たりのいい物語にまとめてしまうと、見えなくなるものがある。早見自身のシングルはOriconランキングで10位から21位の間に入っている一方、彼女の声と強く結びついた楽曲のなかには、キャラクターとして歌ったものもある。たとえば『ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜』で、ちゅーたん役として歌ったHoneyWorksの楽曲だ。役柄の型にはめられる状況も、なくなったわけではない。日本の人物事典などでは今も、声の透明感や、天使・精霊・妖精を演じてきた経歴を通して紹介される。仕事量も膨大で、2026年だけでもテレビシリーズ十数作品以上に出演しており、その多くは、プロデューサーたちがすでに彼女に備わっていると知っている資質だけを求めるライトノベル原作のファンタジーだ。人気投票で支持されるあの明瞭な声は、安心して起用できる存在にもしている。そして、無難なキャスティングが、最も多くを語るとは限らない。

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今年、試されているのは人気よりも表現の幅だ。1月、Netflixで公開された『超かぐや姫!』では、八千代るなみの声を演じ、ryo(supercell)が書き下ろしたテーマ曲「Ex-Otogibanashi」も歌った。同じ月には『魔術師クノンは見えている』で主人公のクノン役を務め、生まれつき目の見えない少年を演じた。初期の穏やかなヒロインたちとは大きく異なる役だ。5月には、新作映画で司波深雪役に戻った。7月にはAnime Expoのためロサンゼルスを訪れ、ステージで『無限城編』について語り、新作『魔法騎士レイアース』のワールドプレミアにも出席した。早見はプリンセス・エメロードを演じており、同作は10月7日に日本で放送を開始した。

早見は私生活を表に出さない。その代わりに彼女が差し出すのは、ラジオ番組とコンサートだ。そこでだけ、声は紛れもなく彼女自身のものになる。

年内には、さらに2本の映画が公開される。11月6日の『Grotesqqque』、そしてその1週間後には、アルマを演じる『楽園追放 心のレゾナンス』が控えている。どちらも、キャラクターと歌手の境目をはっきりさせる作品にはならないだろう。早見はその2つの問いを、ひとつの役、ひとつの歌を重ねながら、どちらも未決のままにしておくつもりのようだ。

代表作

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