映画

TENET テネット:ノーランが前進と逆行を同時に走らせるスリラー

Molly Se-kyung

弾痕だらけの壁に銃弾が刺さっている。と思うと、もうそこにはない。弾は部屋を横切って後ろへ跳び、まだ発射されていない銃の銃身へとはまり込む。研究室の女がそれを見て、隣の男に「あまり深く考えるな」と告げる。TENET テネットは、こうした小さな逆転から始まる——上へ流れる水、片方が相手の流れに逆らって動く格闘——その一つひとつが、この映画がただ一つ届けるために組まれた中心の発想のリハーサルだ。

その発想が「インバージョン(逆行)」である。エントロピーが逆向きに流れる物体、やがて人間。彼らにとっては結果が原因に先んじる。ノーランはこれを、明かして使い切る仕掛けとしては扱わない。建築として扱う。脚本は中央で折り畳まれ、後半が前半を逆回しで演じ直す。アクションはどちらの向きでも読めるよう振り付けられ、題名そのものが古いラテン語の方陣から採られた回文だ。最も引かれる台詞——「理解しようとするな。感じろ。」——は、観客への取扱説明書であると同時に、映画自身のアリバイでもある。

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構造こそが主役

その一つの決断を追えば、映画の最良の部分と、その代償が同じ場所に見つかる。ホイテ・ファン・ホイテマがIMAX 70mmと65mmで撮ったセットピースは巨大で、何より本物だ。ノーランは退役したボーイング747を買い取り、CGで描く代わりに建物へ突っ込ませた。クライマックスの「時間的挟撃」は、二つの部隊を時間の正反対の端から同じ戦いへ送り込む。『デューン』で多忙なハンス・ジマーに代わったルートヴィヒ・ヨーランソンが、脈打つ回文的な電子スコアで全体を押し進める。そして代償はここにある——その音楽と音響設計が台詞の上に覆いかぶさり、台詞を埋めてしまうのだ。必死に追う筋立てが、半分は聞き取れない。ノーランはこの選択を意図的だと言う。だがそれは、どんな普通の物差しで測っても、スリラーが負うべき唯一のもの——何が起きているかを追える——を拒むスリラーでもある。

機械に抗う顔

ジョン・デヴィッド・ワシントンは「名もなき男(プロタゴニスト)」として俊敏で、油断なく、魅力的だ。だがこの役は設計上の謎である。名も過去もほとんど内面もない男——物語が通り抜けていく機能であって、何かが降りかかる人物ではない。温かみと、本作で最も美しく伏せられた反転は、ロバート・パティンソンのニールに属する。飄々とした魅力が、観てきたすべてを静かに並べ替える種明かしを隠している。エリザベス・デビッキはキャットに本作唯一の真の痛みを与える。ケネス・ブラナー演じる死にゆく富豪アンドレイ・セイターに囚われた母——セイターは自らの滅びに世界を道連れにしようとする。ブラナーは脅威を太い筆致で演じる。デビッキは代償を本気で演じる。

本作は2020年の晩夏、パンデミックの只中に劇場ワイド公開を賭けた最初のスタジオ大作として現れた。映画館が再開できるのかを占う、指名された試金石だった。その賭けが作品を避雷針にした。半分空いた客席で世界興行約3億6500万ドル——他のどの年なら成功だった数字が、この年は躓きと読まれた。受け止め方は映画そのままに割れた。ある者は見世物と謎に身を委ね、ある者は心を動かされず、戸惑い、説明を聞き取れぬまま劇場を後にした。

『TENET テネット』(2020)の一場面、監督クリストファー・ノーラン
『TENET テネット』(2020)、監督クリストファー・ノーラン。

この点数の理由

独創性は本物で、職人技は徹底している。この形をした大作はほかになく、四億ドルの回文を観客に手渡す度胸のある監督はそういない。だが、その賢さがそのまま天井でもある。物語は原則として観客を遠ざける。人物は人間というより配置だ。理解より感じろという有名な命令は、自らを本当に感じにくくしてしまった映画を、あまりにしばしば覆い隠す。あらゆる角度から見事で、ほとんどどの角度からも胸を打たない、壮麗な機械である。眩惑され、そしてわずかに冷えて、劇場を出ることになる。

『TENET テネット』は2020年公開。脚本・監督はクリストファー・ノーラン、撮影はホイテ・ファン・ホイテマ、音楽はルートヴィヒ・ヨーランソン。出演はジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー。上映時間150分。アカデミー視覚効果賞を受賞した。

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