映画

『The Out-Laws』、ジャンル迷走でまとまりを欠く作品

Veronica Loop
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銀行の金庫室で、札束の入ったバッグを抱えたまま立ち尽くすアダム・ディヴァイン(Adam Devine)。その顔には、恐怖と決意が入り混じっている。タイラー・スピンデル(Tyler Spindel)監督の『The Out-Laws』(2023年)は、ロマンス、アクション、コメディをひとつの扱いづらい作品に詰め込もうとした結果、トーンが激しく揺れ動く。その様子を象徴する一枚だ。物語の主人公は、まじめ一辺倒の銀行支店長オーウェン・ブラウニング(ディヴァイン)。パーカー・マクダーモット(ニーナ・ドブレフ)との結婚を目前に控えている。結婚式を控えた週、銀行が悪名高い「ゴースト・バンディッツ」に襲われると、オーウェンは、ピアース・ブロスナンとエレン・バーキンが演じるパーカーの両親こそ、あの悪名高い「アウトローズ」なのではないかと思い込む。コメディとして混乱を巻き起こすにはうってつけの設定だが、それを機能させるだけの精度がスピンデルの演出には足りない。

『The Goldbergs』で知られるスピンデルだが、『The Out-Laws』では力不足が目立つ。複数のジャンルを同時に扱おうとした結果、作品はちぐはぐで焦点の定まらないものになっている。テンポは速いものの、物語は最後まで軌道に乗らない。第1幕では、オーウェンが将来の義理の両親に抱く疑念という中心的な対立が提示されるが、そこからアクションやコメディへ移る流れはぎこちない。強盗の場面は手堅く撮られており、スピンデルはタイトな構図と素早いカットを使って切迫感を生み出している。しかし、こうした場面には、観客を引き込むために必要な緊張感や危機感が欠けている。

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笑いを狙った場面も、空振りに終わることが多い。ディヴァインはいつものコメディの持ち味を見せるものの、この作品では身体を張った笑いがわざとらしく映る。オーウェンがマクダーモット家に忍び込もうとする場面は、ドタバタ喜劇の見せ場になるはずだが、ぎこちなく、笑いにもつながらない。先の読めるギャグやスラップスティックに頼ることで、機知や独創性を感じさせる余地まで損なわれている。

『The Out-Laws』が一定の成果を見せるのは、俳優たちの演技だ。オーウェン役のディヴァインは、誠実さを感じさせる演技で、応援したくなる主人公を作り上げている。ただし、人物像に深みはなく、ロマンスの筋書きに必要な感情の重みを表現するには苦戦している。パーカーを演じるドブレフはそれより健闘しているが、キャラクターの掘り下げは不十分で、ひとりの恋愛相手として描かれるというより、物語を動かすための装置にとどまっている。

際立っているのは、ビリーとリリー・マクダーモット役のブロスナンとバーキンだ。ふたりは役柄に愛嬌と重みをもたらしている。とりわけブロスナンは、ユーモアと威圧感を巧みに両立させ、スクリーン上で最も目を引く人物を作り上げた。とはいえ、実力ある俳優たちでさえ、脚本の弱さに足を引っ張られている。

ロマンスの描き方も、同じように説得力を欠く。ディヴァインとドブレフの間に相性のよさは感じられず、ふたりのやり取りはしばしば不自然だ。オーウェンとパーカーが公園で心を通わせる場面は、心温まるシーンを狙っているのだろうが、ぎこちなく、誠実さも伝わってこない。ロマンスの筋書きは後付けのように見え、観客の心に響かせるために必要な感情の深みや真実味がない。

独創性の面でも、『The Out-Laws』はつまずいている。このジャンルの他作品から多くを借りており、新鮮さや革新性を感じさせる要素はほとんどない。強盗の場面は『Ocean’s Eleven』を思わせる一方、ロマンティック・コメディの要素はHallmarkの映画からそのまま持ち込まれたようだ。ひねりや意外な展開で気の利いた作品にしようとする試みも、作為的で予測しやすいため、効果を上げられていない。

ジャンルとの相性という点では、『The Out-Laws』はアクション要素を盛り込んだロマンティック・コメディを目指しているものの、結局どちらにもなりきれていない。コメディとして際立つほど笑えず、アクション映画として成立するほど緊張感やスリルもない。どっちつかずの作品となり、ロマンスを求める観客も、刺激を求める観客も満足させられない。

『The Out-Laws』は、あれもこれも盛り込もうとしすぎた結果、特筆すべきもののない作品になってしまった。スピンデルと出演者たちには、もっと記憶に残る作品を届ける力があるだけに、惜しまれる。複数のジャンルを融合しようとした試みは、ちぐはぐで焦点の定まらない物語を生んでいる。

誰に向けた作品なのかもはっきりしない。ロマンティック・コメディを期待する人は主演ふたりの相性の悪さにがっかりするだろうし、アクション映画のファンには、強盗の場面が緊張感にも独創性にも欠けて映るだろう。よりシリアスなドラマを求める人にとって、コメディ要素が魅力になるとも考えにくい。

結論として、『The Out-Laws』は、あれもこれも盛り込もうとしすぎた末に、特筆すべきもののない作品になってしまった。スピンデルと出演者たちには、もっと記憶に残る作品を届ける力があるだけに、惜しまれる。

キャスト

写真:The Movie Database(TMDB)

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