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『エターナルズ』はマーベル史上もっとも美しい失敗作――唯一の鼓動はセルシとイカリスにある

Martha O'Hara
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『ノマドランド』でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ(Chloé Zhao)。天候と静寂、そして自分の気持ちをほとんど口にしない人々で織り上げた映画だ。それでもマーベルは彼女に声をかけた。そうして生まれたのが、MCU第26作にして、批評家から初めて厳しい評価を受けた『エターナルズ』である。『The Guardian』は理由を率直に指摘した。ジャオが本領を発揮するのは繊細で親密な物語であり、コミック原作のアクション大作はまさにその持ち味を押しつぶしてしまう、と。物悲しいマジックアワーのショットがいくつかあるものの、彼女の作家性がジャンルの壁を越えて残ったと思わせる映像はほとんどない、というのが同紙の見立てだ。私もおおむね同意する。ただ、この映画には、その評決が認める以上の面白さがあるとも感じている。

まずは物語の前提から。紀元前5000年、アリシェムというセレスティアルによって、10人の不死の存在が地球へ送り込まれる。人類を脅かす捕食者、ディヴィアンツを狩るためだ。『The Guardian』は彼らを「トカゲと怒りと高張力ケーブルを混ぜ合わせたような生き物」と表現しているが、まさにそんな印象だ。人々に与える被害以外に、個性らしいものはない怪物たちである。1521年までに任務は終わり、エターナルズはその後の5世紀、命令を待ちながら人間社会に関わらずに過ごす。現代のロンドンでは、セルシがスプライトと暮らし、人間のデイン・ウィットマン(演じるのはキット・ハリントン(Kit Harington))と交際している。そこへディヴィアンツが襲来し、イカリスが現れる。チームは再び集結することになるが、まずリーダーのエイジャックを訪ねると、彼女はすでに亡くなっていた。後継者に指名されたセルシは、任務について聞かされていたことが真実ではなかったと知る。地球は、新たなセレスティアルの誕生に向けて準備されているのだ。

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1本の映画にヒーローを10人も登場させること。それが問題の核心だ。IGNのたとえは的を射ている。チームを事前に紹介することなく、最初の『アベンジャーズ』を作るようなものだという。IGNはジャオがこの難題を乗り越え、物語を膨らませすぎることなく、それぞれの性格や動機をうまく伝えていると評価する。一方、Roger Ebertのサイトは反対の結論に至り、登場人物が多く、世界観の説明に多くを割かねばならないため、展開が性急で満足感に欠けると評した。私は、IGNよりも後者の見方にうなずくことが多い。全員に演じるべき役回りはあるが、それ以上のものを与えられる者は少ない。IGNによれば、作中ではこの一団こそが元祖アベンジャーズだったと、冗談めかして2度ほど語られる。だがその台詞は、もう一方のチームにどれだけの余白が与えられていたかを、かえって思い出させる。

物語の感情的な軸はセルシとイカリスにあり、同時に、映画がもっとも弱みをさらす部分でもある。Screen Rantは、2人の恋愛を急ぎ足ながらも本当に心温まるものと評し、関係を描く大半をモンタージュに頼っていると指摘する。そこには結婚式の場面があり、そのすぐ後にはMCU初のセックスシーンも続く。モンタージュに背負わせるには、なかなかの分量だ。関係を終えた2人が現代で再会するころには、ほんの数分しか見せられていないものを失った悲しみを、観客に感じさせようとする。Screen Rantは、それでもこの恋の破綻が『エターナルズ』の心を形作っていると論じるが、私はそこまでは言えない。むしろ、この映画に絶えず脈打つものを与えている、唯一の要素だと思う。『The Guardian』は、ジェンマ・チャン(Gemma Chan)が演じる共感力豊かなセルシを物語の中心に据える。チャンが温かみを担い、グループ最強のイカリスを演じるリチャード・マッデン(Richard Madden)が、痛みを引き受ける。

周囲を固めるキャストは、脚本以上の働きをしている。エイジャック役のサルマ・ハエック(Salma Hayek)が先頭に立ち、10人のなかでもっとも優れた戦士セナをアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)が演じる。『The Guardian』の言葉を借りれば、クメイル・ナンジアニ(Kumail Nanjiani)が演じるキンゴは、芝居がかった楽しさにあふれている。地球では何世代も続くボリウッド俳優一家の一員として身を隠し、執事を引き連れて地球を救おうとする人物だ。キャストには、耳の聞こえない俳優ローレン・リドロフ(Lauren Ridloff)のマッカリ役や、ブライアン・タイリー・ヘンリー(Brian Tyree Henry)のファストス役も含まれる。『The Guardian』はファストスを、マーベル初のゲイであることを公表したスーパーヒーローと呼んだ。IGNは、Marvel Studios史上もっとも多様性に富んだキャストだと評価している。『The Guardian』もその取り組みは認めるが、すぐさまこう釘を刺す。強引な回想や作り物めいた感傷に頼る物語が、全体の足を引っ張っている、と。脚本が登場人物たちに人間らしく過ごす時間をほとんど与えない以上、キャスティングにおける多様性だけで補えるものには限りがある。

風景をめぐる問題も、結局は時間に行き着く。雄大で広々とした風景描写で知られるジャオについて、IGNもその美しさは認めている。だが上映時間は2時間37分。同レビューは、息をのむような自然のショットも、時間をかけて繰り返されるうちに、だんだん見るのが億劫になると指摘する。IGNはまた、不死という設定に潜む、より根本的な弱点にも目を向ける。物語のなかでは重大な罪が何度も犯されるのに、すぐに許され、忘れ去られてしまうのだ。レビュアーはこれを、何世紀も生きていれば恨みも退屈になる、という脚本の表現だと読む。そういう面もあるのだろう。ただ、スクリーン上では、エターナルズ同士の内面的な葛藤が、物語に必要なほどの感情的な重みを持たなくなっている。

もっとも有益な線引きを示しているのは『The Hollywood Reporter』だ。同誌は、ありきたりなCGの戦闘よりも、人物や集団の力学、感情の機微に目を向ける静かな場面のほうが、映画に生気を与えていると見る。一方で、物語運びは断片的で、感情の深さもその欠点を部分的に埋めるにとどまるという。同レビューは、エターナルズがサノスの引き起こした混乱にたびたび触れ、今度は誰がアベンジャーズを率いるのかと気にかける点にも言及する。共有ユニバースにつきまとう義務である。登場人物たちとじっくり向き合おうとする映画は、別の誰かの物語にどう位置づけられるのかを説明するため、何度も脇へ引き戻される。

製作の経緯を知れば、この緊張関係の一端が見えてくる。ジャオには本格的な創作上の自由が与えられ、脚本を書き直したほか、とりわけテレンス・マリック(Terrence Malick)から強い影響を受け、過去のMCU作品より多くのロケ地と自然光を取り入れた。主要撮影は2019年7月から2020年2月まで、Pinewood Studiosとイングランド、カナリア諸島のロケ地で行われた。音楽を担当したのはラミン・ジャヴァディ(Ramin Djawadi)だ。宇宙的なものと人間的なものを同じキャンバスに描く、これまでとは異なるマーベル映画を目指したことは伝わってくる。同時に、その試みをいつもの作風へと引き戻そうとするシステムの力も見えてしまう。

世間の評価は割れた。世界興行収入は4億210万ドル、すなわち402.1百万ドルに達した一方で、一般に好意的とはいえない評価を受けた初のMCU作品となり、とりわけ脚本とテンポが厳しく批判された。テーマや映像美には称賛の声もあった。『The Hollywood Reporter』は、見慣れたマーベルの公式に、より魂を吹き込んだ作品だと総括しており、私もおおむね同じ見方をしている。うまくいっているのは小さな部分だ。セルシと彼女が愛する人々との静かなやりとり、ナンジアニが演じるキンゴの虚栄心、そしてジャオが思わず長く見せてしまう風景。うまくいかないのは大きな部分である。説明過多の展開、アベンジャーズへの言及、CGの戦闘。『エターナルズ』は、議論を交わす価値のある映画だ。それだけでも、シリーズの隣に並ぶ多くの作品にはないものを持っている。

キャスト

写真:The Movie Database(TMDB)

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