映画

『Wingwomen』、期待を抱かせる幕開けから失速

Martin Cid
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Wingwomenの冒頭を飾る強盗シーンは、アドレーヌ・エグザルホプロス(Adèle Exarchopoulos)演じるアレックスと、メラニー・ロラン(Mélanie Laurent)演じるキャロルが、熟練のプロらしい正確さで危険な仕事をこなす、緻密に振り付けられたダンスのようなアクションだ。アクション、コメディ、ドラマがスリリングに融合する作品になり得たことを予感させる幕開けだが、映画はその可能性を最後まで生かしきれない。主演も務めるロランが監督した本作は、グラフィックノベル『La Grande Odalisque』を原作とし、Netflixから配信された。大きな可能性を秘めながら、実行の段階でつまずいてしまった映画だ。

物語の主人公は、謎めいたゴッドマザー(イザベル・アジャーニ/Isabelle Adjani)のもとで働く泥棒、アレックスとキャロル。妊娠を知ったキャロルが引退を決意すると、二人は人目につかない隠れ家へ逃げ込むが、ゴッドマザーが送り込んだ傭兵たちに追われることになる。物語の軸となるのは、二人が最後の強盗に挑む決断だ。逃走用のドライバーとして、レーシングドライバーのサム(マノン・ブレシュ/Manon Bresch)を仲間に引き入れる。

本作でひときわ光るのは、エグザルホプロスの演技だ。彼女が演じるアレックスは、怒りと脆さが入り混じった人物。長年追われる身として生きてきた彼女は、いま、普通の暮らしを手にできるかもしれないという可能性に向き合っている。エグザルホプロスは生々しい力強さを役に与え、感情を爆発させる場面にも大げさな芝居ではない真実味をもたらす。ロラン演じるキャロルは、地に足の着いた温かさでその強さを受け止める。母親になることや将来への不安を打ち明ける場面では、とりわけそれが際立つ。エグザルホプロスとロランの相性は本作最大の強みであり、脚本が揺らぐ場面でも物語を支えている。

ブレシュ演じるサムは、二人組に新たな魅力を加える存在だが、その人物像の変化は急ぎ足に感じられる。アレックスやキャロルとの関係性を、特に信頼や忠誠心をめぐる問題に向き合う過程で、もっと掘り下げていればよかった。実際には、彼女の役割は二人を中心としたドラマの陰に隠れがちだ。フィリップ・カトリーヌ(Philippe Katerine)演じるアブネルと、フェリックス・モアティ(Félix Moati)演じるクラランスも、後から付け足されたような印象を与える。役柄の掘り下げが足りず、物語を豊かにするどころか、登場によって流れを乱している。

本作がもっとも力を発揮するのは、アレックスとキャロルの絆、夫を亡くしたばかりの女性としてサムが抱える悲しみ、そして最後の強盗に伴う緊張感といった、感情の核に踏み込む場面だ。強盗を実行する一連のシーンは緻密に振り付けられ、ロランの演出はテンポを保ちつつ、危険の度合いを高めていく。一方、ユーモアとドラマを両立させようとすると脚本は精彩を欠き、笑いを狙った場面が空回りすることも多い。

ゴッドマザーを演じるアジャーニは、登場するたびに場面をさらっていく。圧倒的な存在感を放ち、威圧的でもある。ロラン演じるキャロルとの対決には緊張感がみなぎるが、それだけでは中盤の停滞から映画を救い出すには至らない。アクションシーンの構成はよく練られているものの、見応えを一段引き上げるような映像面の華やかさには欠けている。

Wingwomenが描くのは、忠誠心、贖罪、そして自由を求める闘いだ。犯罪にまみれた人生から、普通の暮らしを手にする機会へと向かうアレックスの旅路には引き込まれるものがあるが、感情の重みとコメディ要素の両立には苦戦している。キャロルがアレックスの自由を守るため自らを犠牲にする終盤は、胸に響く場面を目指しているものの、全体のテンポの不均衡や掘り下げ不足のサブプロットによって、狙いを果たせていない。

Wingwomenには、エグザルホプロスとロランの相性、アジャーニの人を惹きつける演技、そして印象に残る場面がいくつかある。しかし、どんな物語を語りたいのか決めきれない脚本が、作品の足を引っ張っている。強盗映画や人物描写を重視したドラマが好きな人には楽しめるだろうが、どちらのジャンルでも際立つだけの一貫性と深みはない。

Ocean’s 8やThelma & Louiseと比べると、Wingwomenはテンポと感情への訴求力で及ばない。これらの作品がアクション、コメディ、ドラマを見事に融合させているのに対し、Wingwomenはトーンの変化をうまくまとめきれず、バランスを見いだせないでいる。

結局のところ、Wingwomenは魅力的な設定と力強い演技を備えながら、むらのある脚本と演出に足を引っ張られた作品だ。

出演者

写真:The Movie Database (TMDB)

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