ビジネスと金融

イーロン・マスク氏「いずれStarlinkが世界のインターネットの大半を担うことも、あり得ない話ではない」

マスク氏の強気な発言を支えるのは、SpaceXで唯一の黒字事業だ。その限界は、本人が付けた条件と、COOによる慎重な言い換えに表れている。
Victor Maslow
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イーロン・マスクはこれまでにも大きな構想を数多く語ってきた。しかし、SpaceXが上場企業として初めて開いた決算説明会でStarlinkについて述べた言葉は、同社がStarshipを軌道に投入しようとしている今、いっそう重みを増している。そのロケットは、この構想を実現する衛星を運ぶ役割を担うはずだ。

「いずれStarlinkが世界のインターネットの過半を提供することも、あり得ない話ではありません。少なくとも、私たちが事業を認められている国々ではそうなるでしょう。そうした国は大多数を占めています」

マスクがこの発言をしたのは8月の決算説明会だった。月曜日、SpaceXがStarshipの14回目の試験飛行を準備するなか、CNBCが改めてこの言葉を取り上げた。今回の飛行は、軌道到達を目指す初めての飛行で、新型Starlink V3衛星26基を搭載する。TechCrunchが書き起こした発言全文では、マスクは実現までの期間にも触れ、「そうですね、10年もかからないでしょう」と述べている。

大きな構想を支える数字

これは戦略を装った空想ではない。SpaceXの収益を支えているのがStarlinkだ。第2四半期には、コネクティビティ部門の売上高が43億ドルとなり、前年同期比で66%増加。営業利益は16億6,000万ドルだった。一方、宇宙事業とAI事業はいずれも赤字を計上した。加入者数は倍増して1,200万人に達している。CNBCによると、SpaceXは軌道上で約1万1,000基の衛星を運用しており、Eutelsat OneWebの約650基を大きく上回る。GeekWireによれば、決算説明会の時点でAmazonのLeoは400基近くを打ち上げていた。

次に価格を見てみよう。Starlinkのユーザー1人当たりの平均月間売上高は、同じ期間に85ドルから66ドルへと下がった。世界の接続の過半を目指すネットワークには、世界の大半の人々が利用できるだけの低価格が求められる。SpaceX自身の提出書類からも、すでに価格を下げて利用範囲を広げていることが分かる。売上高が108%増加した企業向け・政府向け事業が、利益率をより強く下支えしている。

但し書きにこそ本音がある

多くの報道が見落としているのは、発言の中ほどにある「私たちが事業を認められている国々では」という但し書きだ。ここには多くのことが表れている。Starlinkを制約しているのは物理法則でも打ち上げの頻度でもない。必要なのは各国の認可だ。Shacknewsによると、このサービスは中国とロシアでは利用できず、進出する市場ごとに規制当局の承認が欠かせない。国の数が、そのまま利用者の数を意味するわけではない。

会社側の説明は、創業者の発言より慎重だ。マスクの発言から数分後、最高執行責任者のグウィン・ショットウェル(Gwynne Shotwell)は、「今後数年のうちに、Starlinkは世界のインターネット通信量のかなりの部分を占めると見込んでいます。イーロンもその点に触れていました」と述べた。TechCrunchはこれを「はるかに法務チェックを意識した主張」と評した。「過半」から「かなりの部分」へと表現が変わる。その隔たりは、創業者と、いまや公の場で経営を担わなければならない上場企業との距離でもある。

あらゆる数字を引き上げる創業者

この決算説明会では、同じことが何度も起きた。最高財務責任者のブレット・ジョンセン(Bret Johnsen)は、年末までに年換算売上高が1,000億ドルに達するとの見通しを投資家に示した。マスクはその数字について「疑問の余地はない」としたうえで、「それを上回る可能性もある」と述べた。また、売上高1兆ドルという社内目標の達成時期は、2031年から2030年へ前倒しされ、2029年の達成も「可能性がゼロではない」と語った。

マスクの実績を見れば、どちらの見方にも根拠がある。再利用可能なロケットへの賭けは、世界をリードする打ち上げ事業者を生み出した。今年前半だけで打ち上げは78回にのぼる。一方で、予定時期は遅れがちだ。Starshipはこれまでに13回の試験飛行を行ったが、そのいずれも軌道到達を目指したものではなかったとCNBCは指摘している。

だからこそ、決算説明会よりもロケットのほうが重要なのだ。CNBCによると、同社はStarlinkの規模拡大をStarshipに託しており、マスクはアナリストに対し、新世代衛星によってStarlinkの売上高が10倍になる可能性があると語った。「あり得ない話ではない」というのは、株主に向けた言葉だ。Starshipが初めて軌道に到達するとき、搭載されるV3衛星こそが、この主張を試す本当の試金石となる。

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