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『Robots』小粋なギャグも、まとまりを欠く設定は救えない

Martin Cid
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『Robots』の冒頭は、挑発的な雰囲気を一気に打ち出す。連続して女性を口説くチャールズ(ジャック・ホワイトホール/Jack Whitehall)は、ロボットの分身がまたもや何も知らない女性を誘惑する様子を、物陰から眺めている。人工知能をめぐる倫理や、人間関係のばかばかしさを風刺するコメディとして、大いに広がりのある設定だ。しかし本作は、序盤で示した可能性を最後まで保ちきれない。

キャスパー・クリステンセンとアンソニー・ハインズが監督した『Robots』(2023)は、裕福な郊外住民のチャールズ(ホワイトホール)とエレイン(シャイリーン・ウッドリー/Shailene Woodley)が、混乱した恋愛事情を切り盛りするために違法なアンドロイドの分身を利用する、SFロマンティックコメディだ。ロボットたちが恋に落ちて制御を離れると、人間たちは秘密が当局に知られる前に、彼らを追跡するため手を組まざるを得なくなる。ロバート・シェクリイの1963年の短編小説「The Robot Who Looked Like Me」を原作に、ユーモアとロマンス、SFの融合を目指しているが、野心の重さに足を取られる場面も多い。

『Robots』でうまくいっているのは、設定のばかばかしさを前面に押し出す場面だ。ロボットのガラスの目をめぐる繰り返しのギャグは、本作でもっとも冴えた笑いのひとつ。単純な視覚ギャグながら、登場人物が何度もロボットの目をつつく場面など、心から笑えるシーンにつながっている。『The Three Stooges』のような古典コメディのドタバタを思わせる仕掛けだ。ホワイトホールの台詞回しも見どころで、作品の調子が崩れる場面でも、彼ならではの機知と間の取り方が光る。道徳的に問題のある行動をとるチャールズだが、意外にも魅力的な主人公になっている。

一方、エレインを演じるウッドリーも健闘しているものの、人物造形はチャールズに比べて掘り下げが足りない。エレインは、ロボットの分身を使って男性から金品をだまし取る玉の輿狙いの女性として登場するが、その動機や過去は十分に描かれない。そのため、彼女の物語はどこか空虚に感じられる。とりわけ、エレインが大きな心の変化を遂げるはずの後半では、その弱さが目立つ。

残念ながら、本作のユーモアは空振りに終わることも多い。台詞には時折切れ味があるものの、下品な冗談や予想のつくオチに頼りすぎている。テンポにも難があり、中盤ではチャールズとエレインが不器用な作戦を次々と繰り出してロボットの分身を取り戻そうとするうちに、物語の進行が滞る。ロマンス、コメディ、SFのバランスを取ろうとした結果、調子が急激に揺れ動き、最後まで落ち着きどころを見つけられない。

脇を固めるキャストの出来にはばらつきがある。アンドロイドを開発したエンジニア、ザックを演じるポール・ラスト(Paul Rust)は、待望の笑いを添えているが、役柄は十分に生かされていない。ニック・ラザフォード(Nick Rutherford)演じるテッド・ジュニアと、ポール・ジュレウィッツ(Paul Jurewicz)演じるアシュリーは、さらに出番が少なく、物語への貢献も表面的なものに感じられる。

演出にも気になる点がある。クリステンセンとハインズは一貫した映像スタイルを見いだせず、撮影はありきたりで、工夫に乏しい印象を与えることが多い。プロダクションデザインは、未来的なアンドロイドそのものをはじめ、見応えのある部分もある一方、単に機能を果たすだけのものから、記憶に残るものへと引き上げるだけの統一感や細部へのこだわりに欠けている。

テーマの面では、『Robots』はアイデンティティや自己認識、共感について描こうとしているが、そうした主題はしばしばコメディ要素の陰に隠れてしまう。ロボットが自己認識へと向かう過程は、物語を動かす魅力的な仕掛けだ。しかし、その存在がもたらす倫理的な問題や、人間側が直面する道徳的な葛藤を、本作は最後まで十分に掘り下げない。

ただし、結末は意外なほど印象に残る。救済の瞬間、チャールズはアンドロイドたちがメキシコへ逃れ、自由に暮らせるようにする。共感や自己認識というテーマが、作品の中で明瞭に立ち現れる数少ない場面だ。チャールズとエレインが結婚式でロボットの分身に象徴的に取って代わるラストシーンには、積み重ねてきたものが実を結んだ納得感と温かみがある。

『Robots』は大失敗作ではないが、目指していたような、ひねりの利いた挑発的なコメディにもなりきれていない。軽妙なSFコメディが好きな人、とりわけウディ・アレン(Woody Allen)やミシェル・ゴンドリー(Michel Gondry)の作品を楽しめる人には受け入れられるだろう。一方、AI倫理をより本格的に掘り下げた作品や、緻密に作り込まれたロマンティックコメディを期待する観客は、物足りなさを覚えるかもしれない。

結局のところ、『Robots』は凡庸さと、記憶に残る作品との境界を行き来する映画だ。笑い、とりわけホワイトホールの演技には見どころがある。それでも、全体として満足のいく作品にまとまることはない。

キャスト

写真:The Movie Database (TMDB)

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